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 カテゴリー : 一般, 法律

債務整理Q&A3・ギャンブル、FXなどと自己破産

Q ギャンブルやFX取引などで多額の借金を作ってしまったときでも

  自己破産(免責許可)は可能ですか。

 

A これらの事由は浪費等に該当して免責不許可事由とされていますが、

  多くの場合、裁判所は裁量により免責を許可しています。

   その理由は様々ですが、これらの行為を真摯に反省し、二度と

  同じようなあやまちを繰り返さないという姿勢をもって裁判所の

  指示に誠実に対応することや、虚偽の報告をしないようにすること

  が重要です。

    なお、FXやバイナリーオプションなどによる費消の場合、取引明細

  をできる限り入手することが必要です。

    これらを明らかにできない場合、あなたの財産がどちらへ流れて

   いったのかが裁判所にわかりません。

    そう言った場合、財産調査のために裁判所から破産管財人を

   選任を指示されることがあり、破産申立の費用が余分にかかって

   くることになります。

 

 カテゴリー : 一般, 法律

Q&A2・任意整理が成立したときの支払方法

Q 任意整理が成立したときの支払方法について教えてください。

 

A 当事務所の場合、弁護士が各債権者と債務支払の合意

   をしたあとは、その内容に従ってご自身で支払っていただくこと

  になります。

    任意整理を受任した際に、「支払代行」と言って,

  債務者から各債権者に対して支払いに要する金額の

  ほか、手数料を取って一括して支払いを代行する

  弁護士や司法書士もいますが、手数料分が割高

  になりますのでおすすめしません。

    自分自身の債務の支払であることの自覚を持つ意味

  でもご面倒でも各債権者へはご自身での支払を

  おすすめします。

 

 カテゴリー : 一般, 法律

債務整理Q&A1・任意整理と信用情報機関への登録(ブラックリスト

今後、しばらくのあいだ債務整理についてのQ&Aを掲載していこうと思います。

あまり長い内容では、ご理解いただけないこともありますので、ここでは簡単にお答えできる内容を掲載してみようと思います。

 

第1回目のQ&Aは以下のとおりです。

 ↓   ↓   ↓   ↓

Q 破産をせずに任意整理をしたときは,ブラックリストに載りませんか。

 

A 任意整理を弁護士に依頼した場合は,債権者は事故としての扱いを

  しますので、いわゆるブラックリスト(信用情報機関の事故情報リスト)に

  載ることになります。多くの場合は「弁護士介入」と登録されるようです。

   従いまして、リスト登録の点については破産の場合と

   あまり変わりはありません。

    但し、金融業者によっては任意整理の場合、事情によって

   信用情報機関への登録をしない扱いをすることもあるようです。(※)

    (※)当職が聴取したり、事件取扱いの経験から申しあげているものであって、

        金融機関により取扱いの方針が異なりますし、具体的な基準があるわけ

        でもありません。もちろん登録がなされないことを保証できるわけではありませんし、

        交渉により登録がなされないようにできるものでもありません。

 

 

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景品表示法の課徴金について(最近の事例

(1月28日公表)

 消費者を誤認させる表示を行っていた事業者に対して、消費者庁が景品表示法第8条第1項の規定に基づく課徴金納付命令を出したとのことです。

 

「シールで燃費向上」に根拠なし 消費者庁が課徴金納付命令

https://news.yahoo.co.jp/articles/4b6f66d47e1dbba0dcaa98341a7ff94c53352294

 

消費者庁の該当ページ

アドパワー・ソリューションズ株式会社に対する景品表示法に基づく課徴金納付命令について

https://www.caa.go.jp/notice/entry/040838/

 

景品表示法(第8条)では、消費者庁は、不当な表示(※)をした事業者に対して、当該表示にかかる商品等の、一定期間における売上額(算定方法は政令で定められている)の3%に相当する課徴金の納付を命じなければならないとされています。

(但し、事業者が、不当表示がなされていることを、相当の注意を怠らなかったにもかかわらず知らなかった場合は課徴金の支払いを免れます。)

 

(※)ここに言う「不当な表示」とは、景品表示法第5条に規定する、優良誤認表示(5条1号)

   あるいは有利誤認表示(5条2号)のことです。措置命令等の対象となる不当表示には、

   ほかに「商品又は役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがある

   表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害

   するおそれがあるとして」政令で指定されたもの(5条3号)がありますが、これは課徴金の

   対象とはなりません。

 

上記のケースは、当該事業者の自社ウエブサイトで、その販売するシールを貼るだけで燃費を改善する旨の表示がなされたものであり、消費者庁から表示どおりの効果が生じることの根拠資料を求められたがそれが提出できなかったことから、景品表示法違反の表示と認定されたものです。

 

景品表示法では従来から不実の内容や誇大な広告等、不当表示がなされた場合、当該事業者に対して、その是正を求めるための措置命令などを行う権限(命令に従わない者に対しては罰則もある)を消費者庁に与えておりましたが、より実効的な措置として、平成26年の改正により、課徴金命令が導入されました。

これは,措置命令を受けても、当該事業者に不当表示を行ったことによる利益が保持されるのでは、実効性が薄いことから、課徴金が課されることで,不当表示をより効果的に抑止しようとしたものです。

 

このことは逆に事業者から見れば、不当表示をうっかり行ってしまっていた(広告業者に任せきりだったなど)場合であっても、その表示がなされていた一定期間の売上額を基準とする少なくない金額を吐き出さなければならないわけです。

このことは事業や商品の展開を図る場合のビジネスリスクの一つとして念頭に置くべきことではないでしょうか。

 

そうすると、事業者が、広告その他の表示を行う場合、その「内容についても、景品表示法に反しないかを常に検討しなければなりませんが、その検証には専門知識が必要となりましょう。

 

事業者自身がその検証をする部門や担当者を配置できるのであれば、それがベストかと思いますが、コスト的にも見合わない場合には、外部の専門家に当該表示の検証を求めることも必要ではないかと思われます。

 

当事務所でも,景表法関連の事案について検討を重ね、上記のような検証についてご依頼があれば適切な対応ができるよう努力して参ります。

 

 カテゴリー : 一般, 法律

景品表示法務検定(アドバンス合格しました

令和6年度の景品表示法務検定を受験したところ、92点で
「アドバンスコース」で合格した。

 

景品表示法務検定 https://www.jfftc.org/index.html#kentei

景品表示法務検定は、消費者庁の後援を得て、一般社団法人 全国公正取引協議会連合会(Federation of Fair Trade Conferences)主催で実施している検定試験である。

 

試験形式はCBT(Computer Based Testing)と言う方式だそうで、私も初めてこのような方式の試験を受けた。

 これは、コンピューターのディスプレイに問題が表示され、マウスやキーボードを使って選択肢を選んだり、答えを入力したりして解答するものである。

 あらかじめ設定された会場に行ってそこに備え付けられたパソコンから受験する。試験に臨むに当たり身分証明書を提示して、余計なものは持ち込めない。

 試験自体は受験可能な一定の期間(日時ではない!)と場所が決めれており、受験者はあらかじめ指定した日時に会場へ行って受験することになる。会場に設置されたパソコンで受験をすることからカンニング等の不正行為が困難であることがメリットとされている。

cf.「CBT試験」「CBT方式」とは?(https://cbt.odyssey-com.co.jp/solution/)

 

 

さて、この試験の合格者は「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針(平成26年11月14日内閣府告示)」に規定された「表示等管理担当者」とされる。

 この資格を有する者を広告企画や法務等の担当者に配置・活用し、景品表示法違反行為の未然防止を徹底していただくことを期待するとされている。

 

令和6年度の試験は受験者数420人に対して合格者数は241人、
うち70点以上のベーシックが133人
  80点以上のスタンダードが83人
  90点以上のアドバンスが25人
と言うことだ。

 

景品表示法務検定の結果概要

https://www.jfftc.org/kentei/kentei_kekka.html

 

どうやら、私は25人の合格者のうちの一人であったようである。

 

この試験を受けようと思ったのは、最近の広告問題に関心を持ったことによる。

 

最近の消費者問題としては、主に通信販売などのトラブルがあるが,その原因の一つにインターネット上の広告が不動表示や誇大な表現などによることがある。確かに主にインターネットの広告を見ていると、景品表示法で規制される優良誤認表示や有利誤認表示に当たるケースが多々見られ、有名企業でもその違反に問われ、多額の課徴金を命令されていることも少なくない。

適正な広告・表示は消費者にとってよい商品を見分けるために役立つだけでなく、よい商品を販売する企業にとっても留意すべき事項と思われる。景品表示法務検定は企業内での広告企画などに携わる人材に資するものである。もちろん、専門職が今後企業にアドバイスするためにこの資格を取っておくことは有用であろう。

 

私も、この資格の取得したものとして、景品表示法について消費者のみならず、企業の広告戦略に際してアドバイスできるようお役に立てるものと考えている。

 

(受験を考えている方への参考ホームページなど)
 HiraQサンのホームページが参考になる。
 「【激ムズ?】景品表示法無検定に勉強期間2ヶ月で挑んだ結果(2023年度)
  https://writehack.site/category-column-klawtest-2023/

 カテゴリー : 一般

不当な強制執行と弁護士の関与

 

 

不当な強制執行が疑われるケース、全国の高裁・地裁に報告要請…最高裁
https://news.yahoo.co.jp/articles/658b1741e9893a19e330a26257a1e56d9aa499c2

 

cf.不当な強制執行のイメージ

https://www.yomiuri.co.jp/pluralphoto/20250119-OYT1I50119/?from=yhd

 

詐欺事件の被害金を取り戻すために凍結された銀行口座から資金を引き出そうと、

裁判所に支払督促を申し立てて強制執行をかけたそうである。

 

振り込め詐欺の被害に遭った場合は、通常被害者は振込をした銀行口座は

認識している。

その口座は、多くの場合外国人やホームレスなどに名義を借りて作成した口座である。

 

被害回復のためには裁判などの手続を経ずに警察や振込先の金融機関に連絡して

かかる口座を凍結することができるが、当該口座に対して差押えをすると口座凍結が

解除される。

 

これを悪用して架空の債権をでっち上げてこれを根拠に差し押さえることで詐欺の

被害金を不当に監修することをもくろむという手口である。

 

よくこんなことを考えるなと感心している場合ではない。

このような手口は強制執行の制度を悪用したものであって、今回発覚したケースでは

差押えをした会社が虚偽の債権であると認めたとのことであるが、

実際には発覚しなかったケースや有るのではないか。

そうすると、今後もこのような手口が横行しないとも限らない。

 

さらに、今後は、事情を知らない弁護士に対して、差押えを依頼してくるケースなどが

あるかもしれない。

 

今後、債権回収に携わることとなった弁護士としても、その根拠をしっかり

調査してから受任しなければならないのではないか。

 

特に一見の相談者から債権回収を依頼した際は,上記の疑いがないかを

見極める必要があると思われる。

 

(令和7年1月30日 追加)

 NHKでもニュースで取り上げられているので、追加アップしておく。

 「うその申し立てで凍結口座差し押さえ「支払い督促」利用される」

 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250130/k10014707301000.html

 

 カテゴリー : 一般

飲食店の倒産について

「2024年は、飲食店の倒産が増加した」
とのニュースが相次いでおります。

cf.

 企業の倒産、11年ぶり1万件超え 飲食店は過去最多…人手不足で休業など“負の連鎖”
 https://news.yahoo.co.jp/articles/a5e15d9661c200058d58b61c2418bc6132ded4e5

 「飲食店」の倒産動向調査(2024年)
 2024年の「飲食店」倒産894件、過去最多を更新~業態別では「居酒屋」が最多~
 https://www.tdb.co.jp/report/industry/20250114-insyokutousan/

 

コロナ禍が一段落して、一息ついたのかと思っていましたが

人手不足も相まって,むしろ売上が減少しており、

加えて、物価高や人件費の高騰から、利益が減少しているところに

コロナ貸付金の返済が迫ってきたことから倒産を余儀なくされていると

言うことのようです。

 

いずれにしても

飲食店が続けられない状況で負債を抱えているのであれば

その処理のために、どういったことをすればよいのかを

アドバイスすることは可能ですので、

一度お困りの際はご連絡いただけると幸いです。

 

 カテゴリー : 一般

詐欺被害者の破産について

 

 最近の債務整理の相談であるが、借金ができてしまった原因として、詐欺ないしは詐欺的な被害(便宜上まとめて「詐欺被害」という)に遭ったことによるものが見受けられる。

 

 詐欺被害には,いくつかのパターンがあるが、投資や副業を餌に詐欺被害に遭うというものである。

 たとえば、最近記事(朝日新聞令和6年12月30日朝刊)にもあったように、市販品を安く買ってネットで高く販売することで利益を収入として確保する、いわゆる「せどり」をしている者に対して、より高額での販売を約束して高級品の購入を勧めるというパターンが相次いでいるとのことであるが、当事務所へもそういったケースで債務を抱えたという人が相談に来ている。

 

cf.「子どもの養育費に」 高級腕時計転売ビジネスの闇 事件の被害者は

  https://news.yahoo.co.jp/articles/31f588af10508a247bfab560de78adaaea1005c4

 

 一般にはだまされたことで貯金などの財産を喪失するわけだが、財産がない人にも「投資」や「開業資金」等の必要性を強調するなどして、銀行や金融業者から借入をさせることでそのお金をだまし取るものである。結局だまされた人は借金を支払えなるというものである。

 

 こういったケースで破産申立による債務の免責が可能かという点に躊躇を覚える人も少なくない。

 なぜなら,こういった場合、支払不能が突然生じたケースが多く、経緯を理解する必要があることや、「なぜクレジットを組んでまで高級品を購入する必要があったのか」といった点の説明に時間と手間がかかることがあるからである。

 

 さらに、支払困難となった時期が高級品の購入時期と接近していることが多く、その所在が明らかでないことから財産隠匿を疑われ、その調査(免責不許可事由の有無)のために、破産管財人の選任を指示されることが多い。その結果、破産の予納金を余分に負担せざるを得ず、そのことが破産申立の障害となっていることもある。

 

 ただ、いずれにしても、詐欺の被害に遭ったことを丁寧に説明すれば、破産の事情として裁判所に理解はしてもらえる。管財人の費用についても積立をすることで確保できるのであれば自己破産の手続をとることは十分可能である。詐欺により借金ができてしまったという場合であっても返済できない状態に陥ったときは、自己破産を含めた債務整理は可能なので、一度ご相談してほしい。

 

 カテゴリー : 一般

浪費が原因なら免責は不許可となるか?

 大阪弁護士会の機関誌OBAに 「はい6民です お答えします」という連載記事がある。

 

 大阪地裁の第6民事部(破産部)が、破産や再生手続などについての疑問点や取扱について情報提供してくれている記事であるが、9月号(2024年)では免責不許可についての事例紹介が掲載されていた。

 

 同様の記事は昨年(2023年),一昨年(2022年)と9月号に掲載されていたが、これらで照会されている免責不許可の事例は10件に満たなかった。

 

 ところが、今回は16件もの事例が紹介されている。今年は申立件数が昨年より増加しているとも言われており,免責不許可の事例も増えているのかも知れない。

 

 不許可の理由として、紹介されている事例のほとんど(16事例中14例)で、浪費・射幸行為(破産法252条1項4号・以下「4号」という。他の号数も同じ)があげられている。

 

 ただし、4号のみで免責不許可とされているものは3例しかなく、それらの事例は浪費が極めて多額(数千万円にも及ぶ)である場合や、借入金のほとんどが浪費に費消されている場合、支払不能となってからもなお浪費を続けていたことなど、浪費とともにプラスアルファの事情が考慮されている。

 

 また、4号とともに考慮されている事情として、

・破産管財人に対して、破産に至る経緯などについてきちんと説明をしなかったり、虚偽の説明をしていたもの(8号、11号)

・破産申立直前ないし申立後開始決定までの間に、破産原因(既に返済できない事情)があるにもかかわらず、これを秘して借入等をしたもの(5号)

・破産直前に借入をしていたことを隠したりするなど、財産を隠匿していたと認められるもの(1号)

等があげられている。

 

 これらの事例からすると、浪費のみで免責不許可になる事例は極めて少ないことが分かる。

 

 むしろ、浪費が破産の原因であるだけでなく、それに至る事情を隠していたこと、管財人の求めに対して説明を拒絶したり虚偽の説明をしていたという、破産手続への不誠実な対応こそが免責不許可の重大な判断要素とされているようである。言い換えると、多くの債権者に迷惑をかけているのに、その点を踏まえた反省の態度がうかがえないものこそ免責不許可とされるべきだとしているのである。

 

 一方で、たとえ支払不能の原因が浪費によるものであったとしても,その後の破産手続における十分な説明や真摯な手続への協力をすることで、破産者が同じことを繰り返さないという反省の態度を示されれば、免責許可となっている事例は多数ある(と言うかほとんどの場合はそうだろう。)。

 当職の感触としては、もともと裁判所は、破産に至った経緯(過去の過ち?)よりも今後同じあやまちを繰り返さないかどうかを基準に免責するかどうかを判断していると考えているのだろう。

 

 もちろん当事務所においても、二度と破産などを繰り返してほしくないというスタンスで破産手続を受任している。そのためには、それまでの生活態度を振り返って今後は二度と破産などしないで住む生活を送りたいという意欲のある方こそ破産手続で救済されてほしいと考えている。

 

 そうであれば、たとえ浪費などがあったとしても諦めずにご相談に来ていただきたい。二度目、三度目の破産申立であっても,誠実な破産者として立ち直る意欲があれば同様である。当職としても、そのための協力は惜しむことなく、がんばっていきたい。

 

 

 カテゴリー : 一般, 法律

現金が戻ってくる可能性?(その3)

3 チラシの問題性②:おとり広告の可能性

(1)過払金返還請求権を有する者の掘り起こしを目的とする?

 

  この点、おそらくは、この司法書士法人に依頼する人のほとんどが多重債務に陥っており、そのような人がこのチラシを見て「ひょっとして私の場合は?」と問合せをしてくるのだろう。

 

  しかし実際には過払金は存在しないか、あったとしても他の負債をあわせると「焼け石に水」といった状態であることがほとんどではないか。

 

  つまり、「現金が戻ってこない」多数の人たちが「現金が戻ってくる」というワードでこの広告により問合せをしてくるのだろうと考えられる。

 

   この視点から当該広告に更なる問題はないか。

 

(2)私は、このような手法は「おとり広告」に該当する恐れがある。

 

   すなわち、おとり広告とは、商品や役務を購入できるかのように表示しているが、実際には販売できる可能性や販売する意思がないことにより、消費者が表示された商品等を購入できないにもかかわらず、一般消費者がこれを購入できると誤認する恐れのある表示(広告)をいう。

 

   このようなおとり広告は、景品表示法においても不当表示としての規制を受ける。

 

   なぜかというと、このような表示は、表示された商品や役務に関心を持つ消費者を誘引した上で実際に販売する他の商品等を売りつける手段として用いられるからであり、かかる行為が一般消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するからである(西川康一編著・「景品表示法」第6版(商事法務)171ページ)。

 

   具体的には、どのような表示が「おとり広告」となり得るかが公正取引委員会の告示により定められており、具体的な運用基準も決められている(変更:平成28年消費者庁長官決定「『おとり広告に関する表示』等の運用基準」)。

 

cf.おとり広告に関する表示

 一般消費者に商品を販売し、又は役務を提供することを業とする者が、自己の供給する商
品又は役務の取引(不動産に関する取引を除く。)に顧客を誘引する手段として行う次の各
号の一に掲げる表示

 一 取引の申出に係る商品又は役務について、取引を行うための準備がなされていない
  場合その他実際には取引に応じることができない場合のその商品又は役務についての
  表示
 二 取引の申出に係る商品又は役務の供給量が著しく限定されているにもかかわらず、
  その限定の内容が明瞭に記載されていない場合のその商品又は役務についての表示
 三 取引の申出に係る商品又は役務の供給期間、供給の相手方又は顧客一人当たり

  の供給量が限定されているにもかかわらず、その限定の内容が明瞭に記載されていない

  場合のその商品又は役務についての表示
 四 取引の申出に係る商品又は役務について、合理的理由がないのに取引の成立を妨げ
  る行為が行われる場合その他実際には取引する意思がない場合のその商品又は役務に
  ついての表示

 

(3)さて、本チラシ広告の内容は、過払金返還請求権の調査とその請求代行をサービス内容とするものである。

 

   しかしながら、実際に過払金返還請求代行は,上記のようにほとんど可能性がなくなっていると考えられる。にもかかわらずかかる広告を続ける理由は、債務整理が必要な人たちを掘り起こすためではないかと私は考えている。

 

   そして、かかる広告は、「2012年以前からの借入をしていた人」という、極めて限定された人しか役務(過払金返還請求の代行)提供できないことは明らかである以上「取引の申出に係る商品又は役務の供給量が著しく限定されているにもかかわらず、その限定の内容が明瞭に記載されていない場合のその商品又は役務についての表示」に該当すると考えられる。

 

   世の中に多重債務者があふれており、その整理が必要な人はたくさんいる。そう言った人の大部分は本来返金の可能性などないのであって、そういう人も含めて「自分もそうかもしれないという」誤認を与える当該広告はやはり、おとり広告として不当な表示と言えるのではないだろうか。

 

 

   また、法律上の問題を置いても,明らかに「現金が戻ってくる」可能性のない人(それは最近借入をした人であれば明らかであろう)をも誤った希望を与えるのは、道義上も不当であろう。

 

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以上、3回にわたって、かかる広告チラシの存在とその問題性について考察してみた。

 

もちろん結果として,現金が戻ってこないし、債務も減らないことが分かった人が,債務整理を弁護士や司法書士に依頼することが問題というわけではない。

 

しかし、本来、そのような可能性は明らかに見当たらない人まで対象にした広告をするような業者は、景表法といった法律に反している可能性もある思想でないとしても,フェアな広告をしているとはいえないだろう。

 

そのような抗告をする業者が果たして誠実に債務整理を進めていけるかは別問題とはいえ、類似の業務を行う者として、不安を感じるのは余計なお世話だろうか。

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