債務整理について相談される方から、
「債務整理をするとブラックリストに載るのですか?」
「ブラックリストには何年間載るのでしょうか?」
という質問をよく受けます。
まず、「ブラックリスト」という名称の名簿が実際に存在するわけではありません。
例えばCICも、「ブラックリストという名のリストはありません」と明確に説明しています。実際には、クレジットカードやローンなどについて、延滞、保証会社による代位弁済、破産などの事実が「信用情報」として信用情報機関に登録されます。citeturn1search13
一般に、このような信用取引上不利に扱われる可能性のある情報が登録されることを「ブラックリストに載る」と呼んでいるわけです。
日本には、主な個人信用情報機関として、
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CIC(株式会社シー・アイ・シー)
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JICC(株式会社日本信用情報機構)
-
全国銀行個人信用情報センター(KSC・全銀協)
があります。
そして重要なのは、どの信用情報機関でも一律に「債務整理から5年間」と決まっているわけではないということです。
1 CICの場合
CICは、主としてクレジットカード会社や信販会社などが加盟する信用情報機関です。
(1)延滞
CICでは、返済日から「61日以上または3か月以上」の支払遅延がある場合などに「異動」と表示されます。
そして、延滞を解消したからといって直ちに「異動」の記録が消えるわけではありません。CICは、クレジット情報について、
「契約期間中および契約終了後5年以内」
を保有期間としています。
したがって、例えば長期延滞をした後に債務を完済して契約が終了した場合、基本的にはその契約終了から5年間、クレジット情報が残る可能性があります。
ここは「延滞した日から5年間」と単純に考えない方がよいといえるでしょう。
(2)任意整理
意外に思われるかもしれませんが、CICには、弁護士や司法書士に「債務整理を依頼した」という事実そのものを登録する項目はありません。
CIC自身も、
特定調停、民事再生の申立てや、弁護士・司法書士に債務整理を依頼した事実についてのコメントは登録されない
と説明しています。
もっとも、任意整理をすれば、通常はそれ以前またはその過程で延滞等が発生したり、最終的に契約が終了したりします。
そのため、「任意整理」という名称自体が登録されなくても、支払状況などの信用情報が審査に影響する可能性があります。
したがって、
「CICでは任意整理をすると5年間ブラックになる」
という説明は厳密には正確ではありません。
(3)個人再生
CICは、民事再生の申立て自体をコメントとして登録していません。
また、CICは現在、官報情報を収集していません。
したがって、個人再生をしたこと自体が官報情報としてCICに登録されるわけではありません。
もっとも、個々のクレジット契約については、それまでの延滞や契約終了等の情報が残ることがあります。その場合の基本的な保有期間は、契約期間中および契約終了後5年以内です。
(4)自己破産
CICは、2009年4月1日以降、官報情報を収集・保有していません。
ただし、CICの「異動」には破産も含まれます。CICによれば、破産の場合には、免責許可決定を確認した会員会社がコメントを登録した報告日が起算点となり、その後5年間がクレジット情報の保有期間となります。
したがって、
「破産手続開始決定の日から必ず5年間」
というわけではない点に注意が必要です。
2 JICCの場合
JICCは、消費者金融会社、クレジット会社、金融機関などが加盟している信用情報機関です。
JICCについては、CICよりも「債務整理」と信用情報との関係が明確です。
JICCが「取引事実に関する情報」として掲げているものには、
「債権回収、債務整理、保証履行、強制解約、破産申立、債権譲渡等」
が含まれています。
ただし、登録期間については、契約日が2019年9月30日以前か、2019年10月1日以降かで取扱いが異なります。
現在の債務整理で通常問題となる2019年10月1日以降の契約については、
契約継続中および契約終了後5年以内
が基本となります。
JICCによれば、「5年以内」とされているものの、通常は契約終了から5年間登録されています。
(1)延滞
2019年10月1日以降の契約では、延滞を含む返済状況について、
契約継続中および契約終了後5年以内
登録されます。
したがって、「延滞を解消してから5年」と単純に考えるのではなく、基本的には契約終了が重要な基準になります。
なお、2019年9月30日以前の契約については取扱いが異なり、延滞情報は延滞継続中、延滞解消の事実についてはその発生日から1年を超えない期間とされています。
(2)任意整理
JICCでは、「債務整理」自体が取引事実に関する情報に含まれています。
2019年10月1日以降の契約については、
契約継続中および契約終了後5年以内
が登録期間です。
このため、現在の契約については、
「弁護士に任意整理を依頼した日から5年」
と理解するよりも、
任意整理後に返済を続けている間は契約が継続し、契約終了後も原則として5年間信用情報が残る可能性がある
と理解する方が正確です。
(3)個人再生・自己破産
JICCでは「破産申立」も取引事実に関する情報です。
2019年10月1日以降の契約であれば、基本的な登録期間は、
契約継続中および契約終了後5年以内
となります。
自己破産について特に注意したいのが、免責決定が確定しても、債権者に裁判所から当然に通知されるわけではないという点です。
そのため、免責後もJICCの開示結果に残高が残っていることがあります。
この場合、免責確定を証明する資料を用意して登録会社に連絡し、登録会社が確認すると、免責確定の日付で「完済」の登録がされます。
3 全国銀行個人信用情報センター(KSC)の場合
銀行、信用金庫などの金融機関との取引で特に重要になるのが、全国銀行協会が運営する全国銀行個人信用情報センターです。
ここでは、CIC・JICCとは異なり、官報に公告された破産・民事再生手続開始決定の情報が登録されることが大きな特徴です。
(1)延滞・代位弁済・強制回収等
ローンやクレジットカード等の契約内容と返済状況について、
契約期間中および契約終了日(完済していない場合は完済日)から5年を超えない期間
登録されます。
ここには、
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延滞
-
代位弁済
-
強制回収手続
なども含まれます。
例えば銀行カードローンについて保証会社が代位弁済した場合にも、その事実が信用情報として残ることになります。
(2)任意整理
全国銀行個人信用情報センターの公表する登録情報には、「任意整理」という独立した登録項目は示されていません。
しかし、任意整理に至る過程で延滞、代位弁済、強制回収等が発生すれば、それらが取引情報として登録されます。
その登録期間は原則として、
契約期間中+契約終了日(完済していない場合は完済日)から5年を超えない期間
です。
(3)個人再生
全国銀行個人信用情報センターでは、
官報に公告された民事再生手続開始決定
が官報情報として登録されます。
登録期間は、
民事再生手続開始決定の日から7年を超えない期間
です。
したがって、個人再生については、CIC・JICCの「契約終了後5年」という情報だけを見るのでは不十分で、銀行系のKSCでは開始決定から最長7年という官報情報が問題になります。
(4)自己破産
自己破産についても同様です。
官報に公告された破産手続開始決定の情報が、
破産手続開始決定の日から7年を超えない期間
登録されます。
なお、全国銀行個人信用情報センターが登録するのは破産・民事再生の「開始決定」の官報情報であり、**免責許可決定そのものは登録されません。**
このため、
「免責決定から7年」
ではなく、
「破産手続開始決定から7年を超えない期間」
と理解する必要があります。
4 3つの信用情報機関を比較すると
| 手続・情報 | CIC | JICC | 全国銀行個人信用情報センター |
|---|---|---|---|
| 長期延滞 | 原則、契約中+契約終了後5年以内 | 原則、契約中+契約終了後5年以内※ | 契約中+契約終了・完済後5年以内 |
| 任意整理 | 任意整理そのものの登録項目なし | 「債務整理」が取引事実として登録対象 | 任意整理そのものの独立した登録項目はなし |
| 個人再生 | 再生申立自体のコメント登録なし | 契約・取引情報として原則契約終了後5年以内 | 開始決定から7年以内(官報情報) |
| 自己破産 | 官報情報なし。クレジット情報は原則5年 | 原則契約終了後5年以内 | 開始決定から7年以内(官報情報) |
| 主な起算点 | 契約終了・報告日等 | 原則として契約終了 | 契約終了・完済日/破産・再生開始決定日 |
※JICCは2019年9月30日以前の契約について別の登録期間を定めています。
このように、
「債務整理をすると5年間ブラックリストに載る」
という説明は、分かりやすい反面、正確ではありません。
特に任意整理では、返済を3~5年間続けた後に契約終了となり、そこからさらに信用情報が一定期間残る場合があるため、弁護士への依頼から数えて5年を超えることもあります。
また、自己破産・個人再生については、全国銀行個人信用情報センターの官報情報が開始決定から7年以内残る点にも注意が必要です。
信用情報を早く消してもらうことはできる?
では、
「住宅ローンを組みたいのでブラックリストを消してほしい」
「手数料を払えば信用情報を消せるのか」
という問題はどうでしょうか。
結論からいうと、
正しく登録された信用情報を本人の希望によって早く削除してもらうことは、原則としてできません。
1 CIC
CICは、
登録内容が事実であれば訂正・削除できない
と明示しています。
登録情報が事実と異なる場合には、まず「登録元会社」に問い合わせます。誤りが確認されれば登録元会社が訂正・削除します。
登録元会社への問い合わせで解決せず、誤った情報が登録されている可能性がある場合には、CICから登録元会社へ調査を依頼する制度もあります。
2 JICC
JICCも基本的に同じです。
事実と異なる情報が登録されている場合には、まず登録元会社に調査を依頼します。
登録元会社との間で解決できず、誤った情報が登録されている可能性が高い場合には、**開示日から2か月以内であれば、JICCを通じて登録元会社に調査を依頼することができます。**
なお、JICCは「手数料を支払えば信用情報を削除できる」という説明を明確に否定しています。
3 全国銀行個人信用情報センター
全国銀行個人信用情報センターについても、登録内容が事実である場合には訂正することはできません。
情報が事実と異なる場合には、情報を登録した金融機関等またはセンターに申し立てることができます。
センターに申し立てる場合には、本人開示を受けたうえで、所定の「異議申立書」等を提出します。原則として開示日から2か月以内に手続をする必要があります。
「ブラックリストを消します」という業者には注意
以上からすると、
「お金を払えばブラックリストを消せます」
「信用情報をリセットできます」
などという業者には注意が必要です。
正しい信用情報である限り、本人や弁護士が信用情報機関に申し立てても、単に「ローンを組みたいから」という理由で削除してもらうことはできません。
できるのは主として、
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信用情報を本人開示して現在の登録状況を確認する
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登録内容に誤りがないか確認する
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誤りがあれば登録元の金融機関・クレジット会社等に訂正を求める
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必要に応じて信用情報機関の調査・異議申立制度を利用する
という対応です。
特に自己破産では、免責が確定したにもかかわらずJICCに債務残高が残っている場合があります。この場合には、免責確定を証明する資料を登録会社に提出することで、免責確定日を基準として完済登録をしてもらえることがあります。
まとめ
「債務整理をするとブラックリストに5年間載る」とよくいわれますが、正確には、
「どの信用情報機関に、どの情報が、いつ登録され、その情報について定められた保有期間がいつ満了するのか」を個別に確認する必要があります。
特に重要なのは、「5年間」の起算点です。
任意整理を弁護士に依頼した日から必ず5年で消えるわけではありませんし、自己破産についても免責許可決定から一律5年というわけではありません。
また、自己破産や個人再生については、全国銀行個人信用情報センターでは官報情報として手続開始決定から7年を超えない期間登録されます。
「もう信用情報が消えているはずなのにローンやクレジットカードの審査に通らない」「免責を受けたのに残高が残っている」といった場合には、一度CIC、JICC、全国銀行個人信用情報センターに本人開示を請求し、実際の登録内容を確認することが有効です。

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