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 カテゴリー : 法律

プリクラコーナーの「男子禁制ルール」・コメント補足

「男性のみの入場禁止!」プリクラコーナーの

「男子禁制ルール」は性差別でないのか?

http://www.bengo4.com/topics/2910/

 

・・・先日、コメントを求められた記事であるが、

  やはり、舌足らずだった感を強くしている。

 

すなわち、ここでは、おおむね

「プリクラコーナーに男性グループや男性が一人でコーナーに立ち入ることを

禁止している施設について、「男性差別だ!」との意見がある。

問題はないか?」

という質問に対するコメントをしているのであるが、 これに対して私は大要、

以下のように回答した。

 

1 基本的に、ある施設に誰を立ち入る許可を与えるかは、

 その施設の管理者が自由に決めることである。

  したがって、「男子禁制」のプリクラコーナーを設ける

 ことも、基本的には許される。

 

2 これに反した場合のサンクションであるが、立ち入り

 自体が禁止されている場合は、住居侵入罪に該当する

 こともあり得るが、通常は罰則は考えにくい。

 また、罰金や返金拒否は法的にはやりすぎである。

 

・・・というものであった。

 

やや玉虫色のコメントであるが、基本的には、管理者の

営業活動の自由の視点から、このような制限も可能とした。

 

現時点でも、質問のケースについては、特に意見を変える

つもりはない。

 

ただ、このコメントの場合、 例えば、

 

 これが「身体障害者お断り」だったら営業の自由で

 どこまで正当化されるのか?

 

と言った点には別の考慮が必要である。

 

すなわち今回質問された事例についてのコメントが、

一般化して解決するための回答と言うわけではない。

 

すなわち、本来これらの事例については「差別」というものの

内実にまで立ち入った考察が必要と考えている。

 

私は、「差別」とは何かを専門的に研究してきたわけではないので

詳細な解説は出来ないが、法律の専門家として、

一応以下のように 考えている。

 

すなわち、 差別とは、

 

「歴史的に見て、一定の社会的地位、階層あるいは

身分のものが、当該社会の中で永続的に不利益な

取り扱いを受けること」

 

を言うと考えている。

 

そして「差別」に該当するか否かは、

 

1 「差別」されるものが、社会的な意味でのマイノリティであること

2 「差別」により受ける不利益が社会的に見て回復困難なものであること

3 「差別」を解消する方策が、他者の人権を侵害しないことあるいは

 他者の人権を制約してもやむを得ないと考えられること

 

 

と言ったような要素を考慮して、判断すべきであると思っている。

 

そうすると、 当然のことながら、プリクラの男子禁制など 「差別」される男性が

社会的にマイノリティとは言い難いし、 「男子禁制」とされることによる不利益は

せいぜい 「男同士でのプリクラ写真が撮影できないこと」であって

社会的に見てゲームセンターの「営業の自由」を制限してまで

回復困難な不利益とは認めがたい

(他の選択肢は 準備されていると見るべきである。)

 

これに対して、

「身体障害者」はやはりマイノリティであるところ、

現代においては、健常者と同じような社会参加こそが望ましい

はずであり、プリクラ写真の撮影といえども、機械の設置場所等

物理的な制約はともかく、単純に「障害者お断り」が

正当化されるとは 考えがたい。

 

もっともゲームセンターの「営業の自由」の視点からは、

依然これを差別として禁圧することに躊躇を覚えることも

確かである。

 

結局、

こういう場合は、 「法的な意味合いをどのようにとらえるか」

と言った点も問題であるが、 これに反した場合のサンクションが

「正当になされた社会的な批判や非難」 迄も含むとするならば、

「男子禁制」は差別的取り扱いではなく、 「障害者お断り」は

差別的取り扱いとして 社会的に非難されることはやむを得ない、

と考えるべきであろうか。

 

さらに、同様に、

「公共交通機関の『女性専用車両』は男性差別ではないのか?」

といった論点についても考えるところはあるが、これはまた別の機会に。

 

   弁護士尾崎博彦@尾崎法律事務所

   http://ozaki-lawoffice.jp/

 

 

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