国民生活センターADRの実施状況と結果概要について
国民生活センターのHPに8月10日付で、国民生活センターによる紛争解決委員会(ADR)の実施状況と結果概要についての
報告書がアップされていた。
国民生活センターADRの実施状況と結果概要について(平成24年度第2回)
具体的な報告事例はこちら↓
報道発表資料(8月10日付)
・・・国民生活センターの紛争解決委員会は、消費者と事業者との間の紛争について、和解の仲介や仲裁をする手続を行うが、
和解や仲裁の成否に拘わらず、手続が終了した場合に、「国民の生命、身体又は財産に対する危害の発生又は拡大を防止するために、
必要があると認めるとき」は結果の概要を公表することができる。
また、一定の場合には、事案の概要のほか、当該事業者の名称、所在地その他の情報を公表することもできる。
これにもとづいて、今回新たに29件の結果が公表されているが、うち以下の3件は事業者名まで公表されている。
(1)犬の疾患の保証に関する紛争(1)
(事業者名)
株式会社リバースラン
(コメント)
ペットの購入にあたり、補償条項があるにも拘わらず、その条件を満たさないと事業者が固執した結果、解決に至らなかったよう
である。
(2)ブレーキオイル交換器具に関する紛争
(事業者名)
株式会社ワールドツール
(コメント)
事業者からブレーキオイル交換器具(以下、「本件商品」という。)を購入し、取扱説明書に従いながら、ブレーキオイル交換作業を
行ったところ、バルブと透明ホースの接続部分が外れ、ブレーキオイルが車に噴きかかって塗装面に損害が生じたというもの。
商品テストの結果、本件事故の原因は、タイラップバンドがないことが原因であると報告されたにもかかわらず、事業者が
自己の主張に固執し(委員からは事業者の反論には合理性が認められないと認識されたようである)、委員会から提示された
仲介案を受け入れなかった結果、解決に至らなかったという事案である。
(3)サイドビジネス情報の解約に関する紛争(3)~(10)
(事業者)
株式会社インフォスタイル
(コメント)
平成20 年に、情報商材を専門に取り扱うモール事業者の運営するインターネットサイト上で、相手方販売者の情報商材を購入
したが、実際には、メールマガジンを発行してアフィリエイトをするものであり、迷惑メールを他人に送る行為であり、
時給の根拠も示されないというものであった。
委員会からの呼び出しに相手方事業者は応じないかあるいは連絡が届かないという状態で結局申請人が取り下げをすることで
手続が終了したというものである。
以上に見るように、事業者名まで公表されている事例は、相当事業者に問題があるか、真剣に紛争解決のための対応をしてこなかった
ケースであると思われる。
参考・・・独立行政法人国民生活センター紛争解決委員会業務規程(平成21 年4 月1 日 決定)
(公表)
第52 条 仲介委員又は仲裁委員は、和解仲介手続又は仲裁の手続
が終了した場合は、その結果の概要の公表の要否に関する意
見を付して、手続の終了を委員長に報告しなければならない。
2 委員会は、国民の生命、身体又は財産に対する危害の発生
又は拡大を防止するために、必要があると認めるときは、終
了した和解仲介手続又は仲裁の手続に係る重要消費者紛争
の手続の結果の概要を公表することができる。
3 前項に基づく公表において、委員会は、次の各号のいずれか
に該当する場合には、当該事業者の名称、所在地その他
当該事業者を特定する情報を公表することができる。
一 当該事業者が当該情報の公表に同意している場合
二 事業者が和解仲介手続又は仲裁の手続の実施に合
理的な理由なく協力せず、将来における当該事業者と
の同種の紛争について委員会の実施する手続によって
は解決が困難であると認められる場合
三 前二号に掲げる場合のほか、当該事業者との間で同
種の紛争が多数発生していること、重大な危害が発生
していることその他の事情を総合的に勘案し、当該情報
を公表する必要が特に高いと認められる場合
4 委員会は、前二項の規定による公表を行う場合は、あら
かじめ当事者の意見を聴かなければならない。ただし、
緊急を要する等やむを得ない事情がある場合はこの限
りでない。