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パートナー婚?の法的保護について

面白い最高裁判決を見つけた。今回紹介する「パートナー婚」判決である。
(判決日 平成16年11月18日)

判決が出された当時は婚姻制度に対する問題提起ともいえる事件として社会の耳目を集めていたようだ。
現在も原告自身がHPを公開されており、意見や問題提起をされておられる。
男女の関係の多様化の観点からすれば、従前の婚姻制度へ一石投じる判決としては知っておくべきであるが、その問題意識は抜きにして
野次馬的視点から見ても興味が引かれる判決である。
したがって、今までこの判決を知らなかった自分の不勉強を恥じ入るばかりである。

 さて、この判決を整理してみよう。

【事案の概要】
16年にわたり合意のもとで別居しながら子ども2人を設け、経済的にも相互に独立して、共同生活を営むことはなかった男女間において、
男性(上告人=Y)から女性(被上告人=X)に対し、一方的に関係解消を通告され、かつ男性が他の女性と結婚(婚姻)したことによって
Xが精神的苦痛を受けたとして、Yに対し慰謝料請求した。

【裁判の経過】
1 第1審の東京地裁

XY間の関係は法律上保護されるべき夫婦同様の関係ではないこと、終生相互に協力し扶助する義務がある関係であって一方的に
解消できない関係ではないことを理由に,Xの慰謝料請求を棄却した。

2 第2審(東京高裁=原審)

Xの関係継続についての期待を一方的に裏切る者であることは相当でないとして100万円の慰謝料が認められた。

【最高裁の見解要約】

「上告人(男性)が被上告人(女性)に対して何らかの法的な義務を負うものと解することはできず,被上告人が上記関係の存続に関する
法的な権利ないし利益を有するものとはいえない。」
として、上告人(男性)の当該行為について、不法行為を否定して、慰謝料請求を認めなかった。

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本件判決を理解する視点はいくつかあるが、私は以下のような順序で考えをまとめてみた。

1 そもそも、法律の世界では、男女の関係については、婚姻制度を軸にして規定している。

したがって、まず、婚姻制度による保護は、婚姻関係ないしこれに準ずる関係(内縁)にあるものにしか妥当しない。

2 また、それ以外の男女関係は、どのように取り決めようと基本的には自由だが、取り決めが破られた際にどのような保護が受けられる
  のかは、取り決めの内容によって決めるほかない。

その上で、取り決めの有無及びその内容は、明治がなされていればそれにより、そうでない場合にはその男女関係の実態から社会通念上
容認でき、かつ合理的に推測されるものであることが必要である。

3 以上の見地からすると、本件の争点は、

 A 本件XY間の関係は婚姻ないしはこれに準ずる関係としての保護の対象たり得るか。

 B Aが否定されたとしても、XY間に一方的解消を相当でないとする何らかの取り決めがあったか。

というふうに整理すべきではないか。
本件では、裁判所はAの点に関してはほぼ一致して否定していると考えられる。

問題はBの点だが、第1審と最高裁はこれを否定し、第2審のみがこの点を肯定したと理解できる。もっとも、最高裁は、実際のところもっぱら
Aのみを根拠に慰謝料請求を否定したと理解できないわけではないが、事実関係を分析した(特にXY間で関係存続についての合意の有無に
言及している点)上で判断しているところを見ると、Bの点についても意識しているのではないかと思われる。

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 以上の分析は、おそらく法律家の中では目新しいものではないだろう。

また、本件最高裁の判断に対しては、多くの評釈ではおおむね妥当な判断として、批判的な論調のものは少ないとされているようである。
私も、婚姻制度のあり方はともかく、現行の法制度を前提とする以上、それとの偏差で考えていくのは法律家としては当然であると考える
から、本判決の結論には同調せざるを得ない。
仮に上記Bの視点を強調しても、本件で認定されている事実関係を前提にするならば、「特別に親密な友人関係」や「愛人関係」との差異を
どこでつけるのか、その線引きは困難ではないか。

ただ、一方で本件のXY間の関係が、婚姻届出がなされたままの状態であったなら、たとえ本件の事実関係どおりであっても裁判所は
婚姻関係としての保護を問題なく与えたであろう。
(もっともその場合Yは他の女性と婚姻届など出せるわけはなかったのだが。)

そう考えると、婚姻制度とはもっぱら届出により生じる制度でしかないのか、いったい何なのかを考える余地を残す事件であったといわざるを
得ない。

(この論考は、判例時報1881号83頁を参考にした。)

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