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 カテゴリー : 一般, 法律

景品表示法務検定(アドバンス合格しました

令和6年度の景品表示法務検定を受験したところ、92点で
「アドバンスコース」で合格した。

 

景品表示法務検定 https://www.jfftc.org/index.html#kentei

景品表示法務検定は、消費者庁の後援を得て、一般社団法人 全国公正取引協議会連合会(Federation of Fair Trade Conferences)主催で実施している検定試験である。

 

試験形式はCBT(Computer Based Testing)と言う方式だそうで、私も初めてこのような方式の試験を受けた。

 これは、コンピューターのディスプレイに問題が表示され、マウスやキーボードを使って選択肢を選んだり、答えを入力したりして解答するものである。

 あらかじめ設定された会場に行ってそこに備え付けられたパソコンから受験する。試験に臨むに当たり身分証明書を提示して、余計なものは持ち込めない。

 試験自体は受験可能な一定の期間(日時ではない!)と場所が決めれており、受験者はあらかじめ指定した日時に会場へ行って受験することになる。会場に設置されたパソコンで受験をすることからカンニング等の不正行為が困難であることがメリットとされている。

cf.「CBT試験」「CBT方式」とは?(https://cbt.odyssey-com.co.jp/solution/)

 

 

さて、この試験の合格者は「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針(平成26年11月14日内閣府告示)」に規定された「表示等管理担当者」とされる。

 この資格を有する者を広告企画や法務等の担当者に配置・活用し、景品表示法違反行為の未然防止を徹底していただくことを期待するとされている。

 

令和6年度の試験は受験者数420人に対して合格者数は241人、
うち70点以上のベーシックが133人
  80点以上のスタンダードが83人
  90点以上のアドバンスが25人
と言うことだ。

 

景品表示法務検定の結果概要

https://www.jfftc.org/kentei/kentei_kekka.html

 

どうやら、私は25人の合格者のうちの一人であったようである。

 

この試験を受けようと思ったのは、最近の広告問題に関心を持ったことによる。

 

最近の消費者問題としては、主に通信販売などのトラブルがあるが,その原因の一つにインターネット上の広告が不動表示や誇大な表現などによることがある。確かに主にインターネットの広告を見ていると、景品表示法で規制される優良誤認表示や有利誤認表示に当たるケースが多々見られ、有名企業でもその違反に問われ、多額の課徴金を命令されていることも少なくない。

適正な広告・表示は消費者にとってよい商品を見分けるために役立つだけでなく、よい商品を販売する企業にとっても留意すべき事項と思われる。景品表示法務検定は企業内での広告企画などに携わる人材に資するものである。もちろん、専門職が今後企業にアドバイスするためにこの資格を取っておくことは有用であろう。

 

私も、この資格の取得したものとして、景品表示法について消費者のみならず、企業の広告戦略に際してアドバイスできるようお役に立てるものと考えている。

 

(受験を考えている方への参考ホームページなど)
 HiraQサンのホームページが参考になる。
 「【激ムズ?】景品表示法無検定に勉強期間2ヶ月で挑んだ結果(2023年度)
  https://writehack.site/category-column-klawtest-2023/

 カテゴリー : 一般

不当な強制執行と弁護士の関与

 

 

不当な強制執行が疑われるケース、全国の高裁・地裁に報告要請…最高裁
https://news.yahoo.co.jp/articles/658b1741e9893a19e330a26257a1e56d9aa499c2

 

cf.不当な強制執行のイメージ

https://www.yomiuri.co.jp/pluralphoto/20250119-OYT1I50119/?from=yhd

 

詐欺事件の被害金を取り戻すために凍結された銀行口座から資金を引き出そうと、

裁判所に支払督促を申し立てて強制執行をかけたそうである。

 

振り込め詐欺の被害に遭った場合は、通常被害者は振込をした銀行口座は

認識している。

その口座は、多くの場合外国人やホームレスなどに名義を借りて作成した口座である。

 

被害回復のためには裁判などの手続を経ずに警察や振込先の金融機関に連絡して

かかる口座を凍結することができるが、当該口座に対して差押えをすると口座凍結が

解除される。

 

これを悪用して架空の債権をでっち上げてこれを根拠に差し押さえることで詐欺の

被害金を不当に監修することをもくろむという手口である。

 

よくこんなことを考えるなと感心している場合ではない。

このような手口は強制執行の制度を悪用したものであって、今回発覚したケースでは

差押えをした会社が虚偽の債権であると認めたとのことであるが、

実際には発覚しなかったケースや有るのではないか。

そうすると、今後もこのような手口が横行しないとも限らない。

 

さらに、今後は、事情を知らない弁護士に対して、差押えを依頼してくるケースなどが

あるかもしれない。

 

今後、債権回収に携わることとなった弁護士としても、その根拠をしっかり

調査してから受任しなければならないのではないか。

 

特に一見の相談者から債権回収を依頼した際は,上記の疑いがないかを

見極める必要があると思われる。

 

 カテゴリー : 一般

飲食店の倒産について

「2024年は、飲食店の倒産が増加した」
とのニュースが相次いでおります。

cf.

 企業の倒産、11年ぶり1万件超え 飲食店は過去最多…人手不足で休業など“負の連鎖”
 https://news.yahoo.co.jp/articles/a5e15d9661c200058d58b61c2418bc6132ded4e5

 「飲食店」の倒産動向調査(2024年)
 2024年の「飲食店」倒産894件、過去最多を更新~業態別では「居酒屋」が最多~
 https://www.tdb.co.jp/report/industry/20250114-insyokutousan/

 

コロナ禍が一段落して、一息ついたのかと思っていましたが

人手不足も相まって,むしろ売上が減少しており、

加えて、物価高や人件費の高騰から、利益が減少しているところに

コロナ貸付金の返済が迫ってきたことから倒産を余儀なくされていると

言うことのようです。

 

いずれにしても

飲食店が続けられない状況で負債を抱えているのであれば

その処理のために、どういったことをすればよいのかを

アドバイスすることは可能ですので、

一度お困りの際はご連絡いただけると幸いです。

 

 カテゴリー : 一般

詐欺被害者の破産について

 

 最近の債務整理の相談であるが、借金ができてしまった原因として、詐欺ないしは詐欺的な被害(便宜上まとめて「詐欺被害」という)に遭ったことによるものが見受けられる。

 

 詐欺被害には,いくつかのパターンがあるが、投資や副業を餌に詐欺被害に遭うというものである。

 たとえば、最近記事(朝日新聞令和6年12月30日朝刊)にもあったように、市販品を安く買ってネットで高く販売することで利益を収入として確保する、いわゆる「せどり」をしている者に対して、より高額での販売を約束して高級品の購入を勧めるというパターンが相次いでいるとのことであるが、当事務所へもそういったケースで債務を抱えたという人が相談に来ている。

 

cf.「子どもの養育費に」 高級腕時計転売ビジネスの闇 事件の被害者は

  https://news.yahoo.co.jp/articles/31f588af10508a247bfab560de78adaaea1005c4

 

 一般にはだまされたことで貯金などの財産を喪失するわけだが、財産がない人にも「投資」や「開業資金」等の必要性を強調するなどして、銀行や金融業者から借入をさせることでそのお金をだまし取るものである。結局だまされた人は借金を支払えなるというものである。

 

 こういったケースで破産申立による債務の免責が可能かという点に躊躇を覚える人も少なくない。

 なぜなら,こういった場合、支払不能が突然生じたケースが多く、経緯を理解する必要があることや、「なぜクレジットを組んでまで高級品を購入する必要があったのか」といった点の説明に時間と手間がかかることがあるからである。

 

 さらに、支払困難となった時期が高級品の購入時期と接近していることが多く、その所在が明らかでないことから財産隠匿を疑われ、その調査(免責不許可事由の有無)のために、破産管財人の選任を指示されることが多い。その結果、破産の予納金を余分に負担せざるを得ず、そのことが破産申立の障害となっていることもある。

 

 ただ、いずれにしても、詐欺の被害に遭ったことを丁寧に説明すれば、破産の事情として裁判所に理解はしてもらえる。管財人の費用についても積立をすることで確保できるのであれば自己破産の手続をとることは十分可能である。詐欺により借金ができてしまったという場合であっても返済できない状態に陥ったときは、自己破産を含めた債務整理は可能なので、一度ご相談してほしい。

 

 カテゴリー : 一般

浪費が原因なら免責は不許可となるか?

 大阪弁護士会の機関誌OBAに 「はい6民です お答えします」という連載記事がある。

 

 大阪地裁の第6民事部(破産部)が、破産や再生手続などについての疑問点や取扱について情報提供してくれている記事であるが、9月号(2024年)では免責不許可についての事例紹介が掲載されていた。

 

 同様の記事は昨年(2023年),一昨年(2022年)と9月号に掲載されていたが、これらで照会されている免責不許可の事例は10件に満たなかった。

 

 ところが、今回は16件もの事例が紹介されている。今年は申立件数が昨年より増加しているとも言われており,免責不許可の事例も増えているのかも知れない。

 

 不許可の理由として、紹介されている事例のほとんど(16事例中14例)で、浪費・射幸行為(破産法252条1項4号・以下「4号」という。他の号数も同じ)があげられている。

 

 ただし、4号のみで免責不許可とされているものは3例しかなく、それらの事例は浪費が極めて多額(数千万円にも及ぶ)である場合や、借入金のほとんどが浪費に費消されている場合、支払不能となってからもなお浪費を続けていたことなど、浪費とともにプラスアルファの事情が考慮されている。

 

 また、4号とともに考慮されている事情として、

・破産管財人に対して、破産に至る経緯などについてきちんと説明をしなかったり、虚偽の説明をしていたもの(8号、11号)

・破産申立直前ないし申立後開始決定までの間に、破産原因(既に返済できない事情)があるにもかかわらず、これを秘して借入等をしたもの(5号)

・破産直前に借入をしていたことを隠したりするなど、財産を隠匿していたと認められるもの(1号)

等があげられている。

 

 これらの事例からすると、浪費のみで免責不許可になる事例は極めて少ないことが分かる。

 

 むしろ、浪費が破産の原因であるだけでなく、それに至る事情を隠していたこと、管財人の求めに対して説明を拒絶したり虚偽の説明をしていたという、破産手続への不誠実な対応こそが免責不許可の重大な判断要素とされているようである。言い換えると、多くの債権者に迷惑をかけているのに、その点を踏まえた反省の態度がうかがえないものこそ免責不許可とされるべきだとしているのである。

 

 一方で、たとえ支払不能の原因が浪費によるものであったとしても,その後の破産手続における十分な説明や真摯な手続への協力をすることで、破産者が同じことを繰り返さないという反省の態度を示されれば、免責許可となっている事例は多数ある(と言うかほとんどの場合はそうだろう。)。

 当職の感触としては、もともと裁判所は、破産に至った経緯(過去の過ち?)よりも今後同じあやまちを繰り返さないかどうかを基準に免責するかどうかを判断していると考えているのだろう。

 

 もちろん当事務所においても、二度と破産などを繰り返してほしくないというスタンスで破産手続を受任している。そのためには、それまでの生活態度を振り返って今後は二度と破産などしないで住む生活を送りたいという意欲のある方こそ破産手続で救済されてほしいと考えている。

 

 そうであれば、たとえ浪費などがあったとしても諦めずにご相談に来ていただきたい。二度目、三度目の破産申立であっても,誠実な破産者として立ち直る意欲があれば同様である。当職としても、そのための協力は惜しむことなく、がんばっていきたい。

 

 

 カテゴリー : 一般, 法律

現金が戻ってくる可能性?(その3)

3 チラシの問題性②:おとり広告の可能性

(1)過払金返還請求権を有する者の掘り起こしを目的とする?

 

  この点、おそらくは、この司法書士法人に依頼する人のほとんどが多重債務に陥っており、そのような人がこのチラシを見て「ひょっとして私の場合は?」と問合せをしてくるのだろう。

 

  しかし実際には過払金は存在しないか、あったとしても他の負債をあわせると「焼け石に水」といった状態であることがほとんどではないか。

 

  つまり、「現金が戻ってこない」多数の人たちが「現金が戻ってくる」というワードでこの広告により問合せをしてくるのだろうと考えられる。

 

   この視点から当該広告に更なる問題はないか。

 

(2)私は、このような手法は「おとり広告」に該当する恐れがある。

 

   すなわち、おとり広告とは、商品や役務を購入できるかのように表示しているが、実際には販売できる可能性や販売する意思がないことにより、消費者が表示された商品等を購入できないにもかかわらず、一般消費者がこれを購入できると誤認する恐れのある表示(広告)をいう。

 

   このようなおとり広告は、景品表示法においても不当表示としての規制を受ける。

 

   なぜかというと、このような表示は、表示された商品や役務に関心を持つ消費者を誘引した上で実際に販売する他の商品等を売りつける手段として用いられるからであり、かかる行為が一般消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するからである(西川康一編著・「景品表示法」第6版(商事法務)171ページ)。

 

   具体的には、どのような表示が「おとり広告」となり得るかが公正取引委員会の告示により定められており、具体的な運用基準も決められている(変更:平成28年消費者庁長官決定「『おとり広告に関する表示』等の運用基準」)。

 

cf.おとり広告に関する表示

 一般消費者に商品を販売し、又は役務を提供することを業とする者が、自己の供給する商
品又は役務の取引(不動産に関する取引を除く。)に顧客を誘引する手段として行う次の各
号の一に掲げる表示

 一 取引の申出に係る商品又は役務について、取引を行うための準備がなされていない
  場合その他実際には取引に応じることができない場合のその商品又は役務についての
  表示
 二 取引の申出に係る商品又は役務の供給量が著しく限定されているにもかかわらず、
  その限定の内容が明瞭に記載されていない場合のその商品又は役務についての表示
 三 取引の申出に係る商品又は役務の供給期間、供給の相手方又は顧客一人当たり

  の供給量が限定されているにもかかわらず、その限定の内容が明瞭に記載されていない

  場合のその商品又は役務についての表示
 四 取引の申出に係る商品又は役務について、合理的理由がないのに取引の成立を妨げ
  る行為が行われる場合その他実際には取引する意思がない場合のその商品又は役務に
  ついての表示

 

(3)さて、本チラシ広告の内容は、過払金返還請求権の調査とその請求代行をサービス内容とするものである。

 

   しかしながら、実際に過払金返還請求代行は,上記のようにほとんど可能性がなくなっていると考えられる。にもかかわらずかかる広告を続ける理由は、債務整理が必要な人たちを掘り起こすためではないかと私は考えている。

 

   そして、かかる広告は、「2012年以前からの借入をしていた人」という、極めて限定された人しか役務(過払金返還請求の代行)提供できないことは明らかである以上「取引の申出に係る商品又は役務の供給量が著しく限定されているにもかかわらず、その限定の内容が明瞭に記載されていない場合のその商品又は役務についての表示」に該当すると考えられる。

 

   世の中に多重債務者があふれており、その整理が必要な人はたくさんいる。そう言った人の大部分は本来返金の可能性などないのであって、そういう人も含めて「自分もそうかもしれないという」誤認を与える当該広告はやはり、おとり広告として不当な表示と言えるのではないだろうか。

 

 

   また、法律上の問題を置いても,明らかに「現金が戻ってくる」可能性のない人(それは最近借入をした人であれば明らかであろう)をも誤った希望を与えるのは、道義上も不当であろう。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

以上、3回にわたって、かかる広告チラシの存在とその問題性について考察してみた。

 

もちろん結果として,現金が戻ってこないし、債務も減らないことが分かった人が,債務整理を弁護士や司法書士に依頼することが問題というわけではない。

 

しかし、本来、そのような可能性は明らかに見当たらない人まで対象にした広告をするような業者は、景表法といった法律に反している可能性もある思想でないとしても,フェアな広告をしているとはいえないだろう。

 

そのような抗告をする業者が果たして誠実に債務整理を進めていけるかは別問題とはいえ、類似の業務を行う者として、不安を感じるのは余計なお世話だろうか。

 カテゴリー : 一般, 法律

現金が戻ってくる可能性2(「現金が戻ってくる」ことを強調するチラシについて)

前回(8月18日)のブログの続きである。

 

 

2 チラシの問題性①:優良誤認表示か?

   まず、前提として、「現金(過払金)が戻ってくる(可能性がある)」のは、
    ①遅くとも2010年6月までに借入(クレジットカード利用)していた人であり、
  かつ、
    ②現時点から遡って10年以内に取引が継続していた人に限定される。

 

   そして上記に該当する人は、2024年7月(当職がチラシを認識した時点である)現在においては,極めて限定されると言わざるを得ない(このことは前のブログで指摘した。)。

 

   ところがこのチラシでは,そのような限定はなくおよそクレジットカード利用者であれば全てが「現金が戻ってくる(可能性がある)」かのような表示がなされている。

 

   この点については、不当景品類及び不当表示防止法(以下「景品表示法」等という)の「優良誤認表示」(5条1項1号)あるいは「有利誤認表示」(同2号)に該当するとの疑いを否定できないものとと思料する。

 

  cf.不当景品類及び不当表示防止法
(不当な表示の禁止)
第5条 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する

    表示をしてはならない。
  一 商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著

   しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務

   を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であつて、不当に顧客を

   誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの
  二 商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは

   類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく

   有利であると一般消費者に誤認される表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による

   自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの

 

   すなわち、景品表示法は、「一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示・・・す表示であつて、不当に顧客を誘引」する表示を規制するものである。

 

   本件では、およそクレジットカードを利用したものであれば多くの者にとって「現金が返ってくる」可のような表示であると認識できよう。ところが、実際には極めて限定された条件でしか「現金が戻ってくる」ことはない。

 

 このような可能性の低い役務(金融業者に対する過払金の返還手続)を前面に押し出した表示は「実際のものよりも著しく優良であると示すもの」といえるのではないだろうか。

 

  この点、「現金が戻ってくる(可能性がある)」者は限定されてはいるものの、前述した条件を満たせば過払金返還請求権を有していることは事実であることからすれば、チラシ主の役務が「実際の者より著しく優良」とはいえない、との考え方もあり得よう。あるいはチラシ主は「現金が戻ってくる」可能性がない人については、当該役務は発生しないとしてもその調査を無料であるから「一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれ」という不利益を課するものではないと言うかも知れない。

 

  しかし、チラシ主のような過払金返還の手続をする役務の提供は、弁護士あるいは認定司法書士であれば誰でもなし得る業務である。

 

  そして、過払金返還請求が既に現時点においては、かなり限定された条件に該当しなければできないことは、弁護士らにとっては周知の事実である。その条件を明示することなく、およそクレジットカード等の利用者が全て現金の返還の可能性があるかのような表示をすることは、あたかもチラシ主だけがそのようなノウハウを有しているかのような誤認を消費者に対してまねきかねないと考えられる。(※)

 

 (※)「事業者間では常識とされているようなことであっても,それが一般消費者がおよそ知らないような事項であれば、当該事項について誤認が生じることがあり得る」(参考「景品表示法の実務」渡辺大祐著・第一法規40ページ)以上、かかる誤認が法的に問題とされうると考える。

 

  そうだとすれば、かかる表示は「実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示」であるといえるのではないだろうか。

 

  以上より、本来返還される可能性がある「カードキャッシング利用者」は法律上明らかであるにもかかわらず,これを限定せずに「カードキャッシングのご利用経験があるあなたに」向けたチラシ広告は、一般消費者に誤認をまねく表示ではないだろうか。

                                                             (続く)

 

 カテゴリー : 一般, 法律

「現金が戻ってくる」可能性?

  最近、「現金が戻ってくる」と大見出しをうったチラシが入っていた。その広告には、対象カードとその過払金額がいくつもあげられている。

 

 このチラシは某司法書士法人が配布していたのであるが、同様な内容の広告をネット上でも見かけた方は多いのではないだろうか。同司法書士法人はテレビコマーシャルでも同様の広告をしているようである。

 

 果たして、このようなことが現実に可能か。仮に可能だとしてもどれくらいの可能性なのか。
 このチラシに何か問題はあるのか、と言った点を、これから本ブログで分析していきたい。

 

第1 過払金が発生している可能性は少ないこと

1 過払金は発生しているか。

 

   このチラシでは、大きく「現金が戻ってくる」との記載の下には小さい文字で「可能性があります」との記載もあるが、実際のところその可能性はどれくらいあるのだろうか。

 

  まずは、現金が戻ってくる根拠を考えたい。

 

2 「現金が戻ってくる」根拠

 

  先ずはこのチラシに言う「現金が戻ってくる」とする根拠であるが、借り入れた金額よりも返済した金額が上回る場合以外にはありえない。従前金融業者は利息制限法の上限を上回る金利で貸付をしていたことから、これが超過分を元本充当することにより、過払い金が発生することとなっていた。

 

  しかしながら平成18年に貸金業法の改正がなされ(平成22年6月に完全施行)、年利15~20%を超える支払についての「みなし弁済」を廃止し、出資法の上限金利を20%に引き下げたことにより、利息制限法の上限を超える金利での貸付は不可能となった。

 

  従って、遅くとも平成22年6月以降、金融業者からの貸付は、利息制限法の上限以内の金利によるものとなったため、超過利息の元本充当の余地がなくなり、過払金も生じないこととなった。

 

  そうすると、「現金が戻ってくる」可能性のある人は、遅くとも平成22年6月までに初回の借入をしていた人と言うことになるが、多くのクレジットカード会社は法律が施行されるまでに金利を見直していたと考えられるから、実際には平成18年以降に借り入れた方には過払金発生はないか、あっても極めて希少な額しか発生しないと思われる。

 

3 過払い請求権の時効

 

  また、注意すべき点がもう一つある。それは「過払金返還請求権の時効」の問題である。

 

  すなわち、ほぼ確実に過払金返還請求権が発生していると考えられるのは、法施行以前に借入をしており、かつそれ以降に約定どおりに完済した人である(債務を完済していない人でも過払金が発生していることはあるが調査・再計算しないと確実とは言いがたい。)。

 

  ところが、2024年現在では完済から10年を経過していることも多く、せっかく生じていた過払金返還請求権が時効により消滅している可能性が高い。

 

   そうすると結局、過払金が発生していたとしても、その返還請求権は時効により消滅しており、現金が戻ってくることはあり得ない。

 

4 あらためて過払金の発生の可能性について

 

  それでも法改正あるいは法施行から10年以内であれば、まだそれ以前からの借入と返済が多額に及んだ人がまだまだ存在しており、過払金返還請求が可能な事例は少なくなかったかも知れない。

 

  しかし、法律成立から18年、完全施行からでも14年も経ている2024年(現在)においては、もはや、「現金が戻ってくる」可能性は極めて低いと言わざるを得ないのではないだろうか。

 

  そうすると、このチラシ広告の狙いはどこにあるのだろうか。
  いったんここで一息ついて、別項で論じていこうと思う。

 

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令和6年お盆の営業状況について

当事務所のお盆(8月8日~8月16日)の営業時間は

以下のとおりとさせていただきます。

 

1 平日は通常どおりの営業(9時から21時)いたします。

 

2 8月10日(土),11日(日)、12日(月祝)は午前11時から

  午後5時までの営業とさせていただきます。

 

3 電話でのお問合せは上記時間帯以外も随時受け付けております。

 

以上よろしくお願い申し上げます。

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2024年の倒産件数、11年ぶり大台突破確実か

2024年の倒産件数、11年ぶり大台突破確実か/コロナ禍の手厚い保護「ゼロゼロ融資」の返済ピーク、中小企業に大打撃
https://news.yahoo.co.jp/articles/5c1cb8b3b23a82cab1dc062c6fb0ed04721a321f#:~:text=2024%E5%B9%B41%E6%9C%8817,%E4%BB%B6%E5%8F%B0%E3%81%AB%E9%81%94%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%82
(ヤフーニュースより)

 

まず、令和以降の倒産件数・負債総額は
以下のとおりだそうです。

 

 西暦(和暦)     件数    負債総額(円)
2023(令和5年)  8,690    2,402,645
2022(令和4年)  6,428    2,331,443
2021(令和3年)  6,030    1,150,703
2020(令和2年)  7,773    1,220,046
2019(令和元年) 8,383    1,423,238
(引用 https://www.tsr-net.co.jp/news/status/transition/)

 

2024年は、中小企業の倒産が11年ぶりに1万件を超える高水準になると予想されています。
コロナ禍が明けたにもかかわらず中小企業の倒産が増える要因ですが、コロナ禍の期間に受けていた、ゼロゼロ融資(実質無担保・無利子)などの返済期限がここに来て中小企業の重荷となって、資金繰りが困難になることが主たる原因と考えられるそうです。

また、人手不足なども売上げの不振に拍車をかけ、その結果返済が困難となるものと思われます。

 

業種別では、飲食業を含むサービス業が2940件(前年比41.6%増)で、増加率第1位だそうです。飲食業は零細企業が多く、コロナ禍で客足が途絶えてから、それが順調に回復しなかったことにも原因があると思われます。

 

飲食店の売上げが不振となって廃業するに当たり、当事務所に自己破産の申立を依頼されるというケースもあリましたが、今後はこういったケースが増えてくるのではないかと予想されます。
廃業に当たって債務超過に陥るケースであれば、やはり法的な整理をする方が良いでしょう。そのためには専門家による適切なアドバイスが不可欠です。

 

当事務所においても、飲食店の廃業に当たって、適切な債務整理の方法をアドバイスできると思いますので、お気軽にご相談くださいませ。

 

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