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 カテゴリー : 一般, 法律

債務整理Q&A(その2)

 

Q8.債務整理をすると勤務先を解雇されることはありますか?

 債務整理をしたことだけを理由として、勤務先を解雇されることは通常ありません。

 

 なお、自己破産の手続中は、警備員、保険募集人など、一部の資格や職業に一時的な制限が生じることがあります。通常は免責許可決定が確定して復権すれば制限も解消されますが、該当する職業に就いている方は、自己破産以外の方法も含めて事前に弁護士へ相談することが重要です。

 

 任意整理の場合と個人再生手続をとる場合は、上記のような資格制限はありません。

 

 

Q9. 債務整理をすると戸籍や住民票に載りますか?官報から周囲に知られますか?

 債務整理をしても、その事実が戸籍や住民票に記載されることはありません。

 家族その他の関係者が戸籍謄本や住民票の写しを取得しても、債務整理をした事実を知られることはありません。

 ただし、自己破産や個人再生を申し立てると、手続上、氏名や住所などが国の機関紙である「官報」に掲載されます。

 

 官報は誰でも閲覧できますが、一般の方が日常的に官報を確認することはほとんどありません。

 そのため、官報に掲載されたことをきっかけとして、家族、知人、勤務先などに自己破産や個人再生を知られるケースは通常多くないと考えられます。

 

 

 一方、任意整理は裁判所を通さず、債権者との私的な交渉によって返済条件を見直す手続です。そのため、任意整理をした事実が官報に掲載されることはありません。

 

 

 

Q10.債務整理をすると「ブラックリスト」に載りますか?

 債務整理をすると、一般に「ブラックリストに載った」といわれることがあります。

 実際には「ブラックリスト」という名称の名簿が存在するわけではありません。

 債務整理や長期延滞などの情報が信用情報機関に登録された状態を、便宜上そのように呼んでいます。

 

 主な信用情報機関には、次の3つがあります。

  CIC:主にクレジットカード会社や信販会社などが加盟
  JICC:主に消費者金融会社やクレジット会社などが加盟
  全国銀行個人信用情報センター(KSC)

     :主に銀行、信用金庫、銀行系カード会社などが加盟

 

 信用情報機関には、氏名や生年月日などの本人情報に加え、ローンやクレジットカードの契約内容、借入残高、返済状況、延滞、代位弁済、債務整理などに関する情報が登録されます。

 

 金融機関やクレジットカード会社は、新たな申込みを受けた際、申込者の返済能力を判断するために信用情報を照会します。そのため、債務整理に関する情報が登録されている間は、新たな借入れやクレジット契約の審査に通りにくくなります。

 

 なお、借金を延滞している場合は、債務整理を始める前からその情報が登録されていることもあります。ですから「債務整理をしなければ信用情報に影響しない」とはいえない点に注意が必要です。

 

 

Q11.「ブラックリスト」に載ると、何ができなくなりますか?

 信用情報に債務整理や長期延滞などの情報が登録されると、一定期間、新たな借入れやクレジット契約の審査に通りにくくなります。

 

 具体的には、次のような契約に影響する可能性があります。

  ・クレジットカードの新規作成や更新
  ・カードローンやキャッシング
  ・住宅ローンや自動車ローン
  ・スマートフォンや家電製品などの分割購入
  ・他人のローンや奨学金の保証人になること

 

  現在使用しているクレジットカードについても、債務整理の対象にすれば通常は利用できなくなります。対象から外したカードであっても、カード会社による途上与信や更新時の審査によって、利用停止や更新拒否となる可能性があります。

 

 もっとも、信用情報に登録されたからといって、日常生活に必要なすべての決済手段が使えなくなるわけではありません。現金払い、銀行振込み、デビットカード、チャージ式のプリペイドカードなどは、原則として利用できます。

 

 

Q12.債務整理後、クレジットカードを作れない期間は何年ですか?

 一般的には、債務整理後、おおむね5年間は、クレジットカードの新規作成や更新が難しくなるといわれています。

 ただし、これは『5年経てばクレジットカードが作ることが必ずできるようになる』といったものではありません。

 そもそも「いつから5年なのか」も必ずしも明確ではありません。

 「弁護士に債務整理を依頼した日から必ず5年間」という単純な計算できまるものではなく、信用情報の種類や登録期間は、信用情報機関によって異なり、契約終了、完済、代位弁済、免責確定などの時期によって、情報が削除される時期も変わる可能性があります。

(破産の場合は、免責許可決定の確定日は明確ですので、起算点もはっきりしますが、任意整理の場合などは、合意時期や支払い完了が明確ではないことから、起算点がはっきりせず長期間経っても信用情報が削除されないことはあり得ます。)

 

 CICやJICCでは、契約内容や返済状況などの情報が、契約期間中および契約終了後から一定期間登録されます。全国銀行個人信用情報センターでは、取引情報のほか、自己破産や個人再生に関する官報情報が、決定日から最長7年間登録される場合があります。

 

 また、信用情報機関の登録が削除されても、クレジットカードの発行が保証されるわけではありません。カード会社は、申込時の収入、勤務状況、他の借入れ、過去の取引履歴などを踏まえて独自に審査します。

 

 自分の信用情報が現在どのように登録されているかを知りたい場合は、各信用情報機関に本人開示を申し込むことで確認できます。

 

 

Q13.債務整理後、銀行口座は使えますか。また新しく口座を作ることはできますか?

 債務整理をしても、原則として銀行口座は引き続き利用できます。預金の引出しや振込み、給与・年金の受取り、公共料金の口座振替などが一律に禁止されるわけではありません。

 ただし、借入れのある銀行を債務整理の対象にする場合には注意が必要です。その銀行が債務整理の開始を把握すると、口座を一時的に凍結し、口座内の預金と借入金を相殺することがあります。

 特に、借入先の銀行口座を給与や年金の受取口座として利用している場合、入金された給与や年金をすぐに引き出せなくなるおそれがあります。債務整理を始める前に、受取口座を借入れのない別の金融機関へ変更すべきか、弁護士に確認しておくことが重要です。

 

 また、借金の返済用口座については、債務整理を依頼した後も自動引落しが実行されることがあります。受任通知を送付すれば必ず直ちに引落しが止まるとは限らないため、残高や口座振替の状況についても事前に確認する必要があります。

 

 なお、借入れのない銀行の口座まで、債務整理を理由として一律に凍結されるわけではありません。このあたりの取扱は銀行毎に異なるようです。

 

 

Q14.債務整理をすると携帯電話は使えなくなりませんか?端末代金の分割払いが残っている場合はどうなりますか?

 債務整理をしただけで、携帯電話やスマートフォンが直ちに使えなくなるわけではありません。

 通信料金を滞納しておらず、端末代金も支払済みであれば、通常はそのまま利用できます。また、端末代金の分割払いが残っていても、債務整理をすること自体は可能です。

 

 ただし、次のような場合には、回線契約や端末の利用に影響が生じる可能性があります。

 ・通信料金を滞納している
 ・端末代金の分割払いを滞納している
 ・通信料金や端末代金を債務整理の対象にする
 ・携帯電話会社との契約上、端末の所有権が会社側に留保されている

 

 通信料金を滞納している場合には、回線が利用停止または契約解除となる可能性があります。端末代金を債務整理の対象にした場合には、契約内容によって端末の返却を求められることもあります。

 任意整理では、携帯電話会社や端末代金の債権者を手続の対象から外し、契約どおりの支払いを続けることで、利用を継続できる場合があります。

 

 一方、自己破産や個人再生では、原則としてすべての債権者を申告しなければなりません。端末代金を滞納しているにもかかわらず、その債権者にだけ優先して支払うと、偏頗弁済として手続上問題になる可能性があります。そのため、キャリア変更を余儀なくされることもあります。

 

 また、債務整理後も通信回線の契約が一律に禁止されるわけではありませんが、信用情報に事故情報が登録されている間は、新しい端末の分割購入の審査に通りにくくなります。その場合は、端末を一括払いで購入する、中古端末を利用する、現在の端末を継続して使用するなどの方法が考えられます。

 

 携帯電話は仕事や日常生活に欠かせないことも多いため、自己判断で端末代金だけを返済したり、契約を変更したりするのは避けましょう。通信料金の滞納の有無、端末代金の残額、回線と端末代金の契約先などを弁護士へ正確に伝えることが大切です。

 

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債務整理Q&A(その1)

借金に悩んでおられる方について

多くの方がまず知りたいと思われる項目を整理して

Q&A形式でアップしたいと考えました。

 

まずは、債務整理全般についての質問事項からあげてみたいと思います。

 

Q1.債務整理とは何ですか?

 「債務整理」とは、借金の返済が難しくなった場合に、返済額を減らしたり、返済方法を見直したり、借金の支払義務を免除してもらったりする手続の総称です。

 

 なお、「債務整理」という用語はやや広い意味を持つ言葉であり、文脈によって指す内容が異なる場合があります。一般的には「任意整理」「個人再生」「自己破産」といった複数の法的手続をまとめた総称として使われますが、場合によっては、弁護士等による任意の交渉(任意整理のみ)を指して使われることもあります。

 

 主な方法としては「任意整理」「個人再生」「自己破産」があり、借金の金額や収入、財産、住宅を残したいかなどによって、適した方法は異なります。

 

Q2.借金がいくらくらいになったら債務整理を考えるべきですか?

 「借金が○万円以上なら債務整理をすべき」という明確な基準はありません。

 

 当職ブログ(令和8年4月14日公開)でも解説しているとおり、債務整理が可能かどうかは借金の金額そのものではなく、収入や生活状況とのバランスによって判断されます。

 

 具体的には、毎月の収入から生活費を差し引いたうえで、無理なく返済を継続できるかどうかが重要なポイントです。

 

 毎月返済を続けているにもかかわらず借金が減らない場合や、返済のために新たな借入れを繰り返している場合、あるいは返済をすると生活費が不足してしまうような状況では、早めに債務整理を検討することが望ましいといえます。

  
 

Q3.債務整理にはどのような種類がありますか?

代表的な債務整理には、次の3つがあります。

・任意整理
 債権者と交渉して、将来利息のカットや分割返済などを目指す方法です。

・個人再生
 裁判所の手続を利用して借金を大幅に減額し、原則として3~5年で返済する方法です。

・自己破産
 裁判所に申し立て、免責が認められることによって、原則として借金の支払義務を免除してもらう方法です。自己破産は、裁判所から免責を受けることで、税金など一部の債務を除き、原則として借金の支払義務がなくなる手続です。

 

 それぞれメリット・デメリットがあるため、収入や財産、借金額などに応じて選択します。

 
 
 
 

Q4.債務整理をすると借金はどのくらい減りますか?

 任意整理では、元金そのものは減らず、将来利息などをカットしてもらうケースが一般的です。もっとも最近は返済期間を設定し完済までの将来利息を織り込んだ整理案を主張する金融業者も増えているように思います。

 

 個人再生では、一定の条件のもとで借金を大幅に減額できる可能性があります。

 

 自己破産では、前述のように免責が認められれば、税金など一部の債務を除き、原則として借金の支払義務がなくなります。

 

  債務がいくら減額されるかといった観点から順に並べると

      自己破産>個人再生>任意整理

  と考えるのが一般的です。

 
 

Q5.債務整理をすると家族に知られますか?

 必ずしも家族に知られるわけではありません。

 

 特に任意整理は裁判所を利用しないため、家族に知られずに手続できるケースもあります。

一方、個人再生や自己破産では、裁判所に家計や財産に関する資料を提出する必要があるため、同居している家族の協力が必要となる場合があります。

 

 また、家族が保証人になっている場合などには、家族への影響を避けることが難しいケースもあります。

 

 なお、「家族に知られてでも債務整理すべきかどうか」は、借金の状況と生活への影響の大きさで判断することが重要です。例えば、返済のために生活費が不足している、借金が増え続けている、すでに返済が困難な状態にある場合には、家族に知られる可能性があっても早期に債務整理を行う方が、結果的に生活再建につながることが多いです。

 

 最終的には、「家族への影響」と「借金問題を放置した場合のリスク」を比較し、どちらが将来の生活にとってより大きな負担になるかを基準に判断することが大切です。

 

Q7.会社に知られずに債務整理できますか? 

 通常、債務整理をしたことが勤務先に直接通知されることはありません。そのため、会社に知られずに手続できるケースは多くあります。
 
 もっとも勤務先からの借入れがある場合は、返済状況の確認や連絡が勤務先を通じて行われることがあるため知られる可能性があります。また、裁判所へ提出する書類(給与明細や在籍証明書など)を勤務先から取得する必要がある場合には、その過程で手続を知られる可能性があります。さらに、すでに給料を差し押さえられている場合には、差押え通知が勤務先に送付されるため、債務整理の有無にかかわらず会社に知られている状態となります。

 

 なお、自己破産については一部の資格・職業に一時的な制限が生じる場合がありますので、該当する方は事前に確認する必要があります。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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夏期期間の相談(特に債務整理)営業時間について

夏期休暇期間(8月7日~8月23日(日))の

営業時間をお知らせします。

 

(1)8月7日(金)~8月16日(日)の営業時間

  ・7日、10日、12日~14日は,平常通り(10時~20時)営業します。

  ・土日祝(8日、9日、11日、16日)は、13時から18時まで営業します。

  ・15日(土)はお休みです(電話受付します)。

 

(2)8月17日(月)~8月23日(日)の営業時間

  ・平日は平常通り営業します。

  ・22日(土)はお休みです(電話受付します)。

   23日(日)13時から18時まで営業します。

 

・・・以上のように、お盆期間でもほぼ平常通り営業致します。

  特に債務整理(自己破産等含む)のご相談を急がれる方は

  上記期間にお問い合わせいただけると幸いです。

  

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令和8年6月5日最高裁判決で注目される「不貞相手への慰謝料請求」の整理

  令和8年6月5日、最高裁判所は、不貞行為の相手方に対する慰謝料請求に関する重要な判決を言い渡しました。この判決は、不貞相手が「夫婦関係はすでに破綻している」と信じていた場合の責任について最高裁が明確な判断を示したものであり、今後の実務にも大きな影響を与えるものと考えられます。

  そこで今回は、不貞相手に対する慰謝料請求について、これまでの最高裁判例を踏まえながら整理してみたいと思います。

 

1 不貞相手に対する慰謝料請求には2種類ある

  配偶者が不貞行為をした場合、他方配偶者は不貞相手に対して慰謝料を請求できる場合があります。

  もっとも、「慰謝料請求」と一言でいっても、その内容は次の二つに区別されます。

  ① 不貞行為そのものによる慰謝料(不貞慰謝料)
  ② 不貞行為によって離婚に至ったことによる慰謝料(離婚慰謝料)

 この二つは請求の根拠(請求原因)が異なることを明確に示したのが、最高裁平成31年2月19日判決です。

 そのため、それぞれについて別々に考える必要があります。

 

2 不貞慰謝料について
(1)婚姻関係が既に破綻していた場合

    最高裁平成8年3月26日判決は、

    婚姻関係が既に破綻した後に一方配偶者と肉体関係を持った者に対しては、他方配偶者は不貞慰謝料を請求することはできない

   と判示しています。

    つまり、不貞行為の時点で婚姻関係が既に破綻していたのであれば、原則として不法行為は成立しないという考え方です。

(2)令和8年6月5日判決が示した新たな判断

   今回の令和8年6月5日最高裁判決では、さらに重要な判断が示されました。

   すなわち、

   実際には婚姻関係が破綻していなかったとしても、不貞相手が「既に婚姻関係は破綻している」と信じ、しかもそのように信じることについて相当の理由があった場合には、不貞相手には過失が認められない。

   というものです。

    この点について最高裁がここまで明確に判示したのは、本判決が初めてと考えられます。

(3)不貞慰謝料が認められるための要件

    以上の判例を踏まえると、不貞慰謝料が認められるためには、少なくとも次の点が問題となります。

    ・不貞行為の時点で婚姻関係が破綻していなかったこと
    ・不貞相手が「婚姻関係は既に破綻している」と信じておらず、又はそのように信じることについて相当の理由がなかったこと

   なお、この「婚姻関係が破綻していると信じ、かつ、そのように信じるについて相当の理由があった」という事情は、不貞相手側の抗弁に当たるため、主張・立証責任は相手方にあると解されます。

 

3 離婚慰謝料について

   一方、不貞行為によって最終的に離婚に至った場合であっても、当然に不貞相手へ離婚慰謝料を請求できるわけではありません。

   最高裁平成31年2月19日判決は、

  ・不貞相手に対して、単に不貞行為があったというだけでは、離婚に伴う慰謝料を請求することはできない。
  ・もっとも、不貞相手が夫婦を離婚させる意図をもって婚姻関係に不当に干渉するなど、離婚を招いたと評価できる特段の事情がある場合には、例外的に離婚慰謝料が認められる余地がある。

  と判示しています。

   つまり、不貞慰謝料と離婚慰謝料とは全く別の請求であり、離婚慰謝料については、不貞相手による積極的な婚姻関係への介入など、通常以上の事情が必要になります。

 

4 まとめ

   これまでの最高裁判例を整理すると、不貞相手に対する慰謝料請求は次のようになります。

  ① 慰謝料請求は二種類ある

    不貞行為そのものに対する「不貞慰謝料」
    離婚に至ったことに対する「離婚慰謝料」

    両者は請求原因が異なり、それぞれ別個に判断されます。

  ② 不貞慰謝料について

    婚姻関係が既に破綻した後の肉体関係については、不貞慰謝料は認められません。また、実際には婚姻関係が破綻していなかったとしても、不貞相手が「既に婚姻関係は破綻している」と信じ、そのように信じることについて相当の理由があった場合には、不貞相手の過失は否定され、不貞慰謝料は認められないことになります。

  ③ 離婚慰謝料について

    離婚慰謝料は、不貞行為があっただけでは認められません。

    不貞相手が離婚を意図して婚姻関係へ不当に介入したなど、離婚を招いたと評価できる特段の事情がある場合に限って、例外的に認められます。

 

 令和8年6月5日最高裁判決は、不貞相手の「過失」の判断基準を明確に示した点で重要な意義を有します。今後は、不貞相手が「夫婦関係は既に破綻している」と信じた経緯や、その認識に合理的な根拠があったかが、これまで以上に重要な争点になるものと思われます。

 

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決済代行大手「全東信」が破産 なぜ負債1,100億円超にまで膨らんだのか

2026年7月、大阪市のクレジットカード決済代行会社「株式会社全東信(以下、「全東信」といいます。)」が大阪地方裁判所から破産手続開始決定を受けました。

負債総額は約1,151億円(当初報道では約1,259億円)に及び、2026年最大規模の企業倒産となっています。

本件は単なる一企業の経営破綻ではなく、「決済代行業」という業態が抱えるリスクを浮き彫りにした事件でもあります。

本ブログでは、全東信破産の背景、直接的な原因、そして加盟店・債権者への影響について解説します。


1 全東信破産の背景事情

(1)主な加盟店は飲食店、特に審査が難しい店舗も多かった

 全東信は、クレジットカード会社と加盟店との間に立つ「決済代行会社」です。

 加盟店は20万店を超え、一般飲食店を中心として、サービス業・物販業など幅広い業種と取引していました。

 なかでも、業界関係者からは、

  • 深夜営業の飲食店
  • バー・クラブなど風営法の規制を受ける店舗
  • 新規開業店舗
  • 一般のカード会社では加盟店審査が通りにくい店舗

などを積極的に受け入れていたことが指摘されています。もっとも、この点は公的資料ではなく業界関係者の証言等によるものであり、全加盟店の中心であったことまで確認されているわけではありません。

 このような加盟店は、

  • 売上の変動が大きい
  • 倒産・廃業リスクが高い
  • チャージバック(売上取消)の発生率が比較的高い

という特徴を持つため、決済代行会社としては相応のリスクを負うことになります。


(2)決済代行会社は「加盟店へ先に支払う」資金が必要

 決済代行業者とは、

「店舗とカード会社をつなぎ、キャッシュレス決済の処理と売上金の精算を代行する会社」

です。

 そして、全東信はその中でも「加盟店へ売上金を前倒しで支払う(早期決済)」ことを強みとした決済代行業者だったということです。

 例えば、

  • 飲食店がカード決済を受ける
  • 全東信が数日以内に店舗へ売上金を入金する
  • 後日カード会社から全東信へ入金される

という流れになります。

 加盟店にとっては資金繰りが楽になる一方で、決済代行会社には常に多額の運転資金が必要になります。


(3)決済代行以外の関連サービス展開(カード立替サービスが収益の中心)

 

 全東信は、

  • クレジットカード業務の受託
  • 加盟店管理
  • 決済端末の提供
  • 経営コンサルティング

なども行っていました。

 しかし、これらは主力事業ではなく、収益の中心はあくまで前述したような、カード売上の早期立替サービスを主力事業としていたのです。

 カードでの売上金は、実際に店舗に入金されるまで数週間程度かかるのが通常です。

 ところが、全東信は、

  • 本来の(カード会社からの)入金日を待たず、
  • 自社資金や借入金を使って、
  • 数日以内に加盟店へ売上金を立て替えて支払う

というサービスを提供していました。

 このため、飲食店などは資金繰りが楽になる一方、全東信は常に多額の運転資金を必要とし、金融機関からの借入れに大きく依存する経営構造となっていました。

 つまり、多額の借入金を利用して加盟店へ早期入金を続けるビジネスモデルであり、資金調達が滞れば事業全体が停止する構造となっていました。


2 破産の直接的な原因

(1)コロナ禍による業績悪化と金融負担

 2020年以降、新型コロナウイルスの影響で飲食店は営業時間短縮や休業を余儀なくされました。

加盟店の売上減少に伴い、全東信の取扱高や収益も大幅に減少し、多額の借入金だけが残る状態となりました。


(2)約20年に及ぶ粉飾決算疑惑

 破産申立書などによると、

  • 預金残高約170億円の水増し
  • 架空債権約154億円の計上
  • 加盟店への未払立替金約217億円を負債計上しない

などの手法によって、約20年間にわたり財務内容を実態より良く見せていた疑いがあります。

 帳簿上は純資産約24億円でしたが、実際には約605億円の債務超過だったとされています。

 つまり、

 コロナ禍で悪化した経営を、粉飾によって隠しながら資金調達を続けていたものの、最終的に資金繰りが限界に達した

という構図が浮かび上がっています。


(3)負債総額・債権者数 

 破産申立時点では、

  • 負債総額:約1,151億円
  • 債権者数:115名

とされています。なお、加盟店への未払金などを含めると負債額はさらに増加する可能性があると報じられています。


(4)債権者は金融機関が中心

 債権者の中心は、

  • 信用組合
  • 地方銀行
  • ノンバンク
  • リース会社

など63社の金融機関です。

 最大債権者は**近畿産業信用組合**で、債権額は約219億円と報じられています。金融機関向け借入総額は約1,130億円に達していました。


3 破産による加盟店・債権者への影響

(1)金融機関への影響

 最大の影響を受けるのは貸付を行っていた金融機関です。

 特に、

  • 近畿産業信用組合
  • 地方銀行
  • ノンバンク

などは、多額の貸付金の回収が困難となる可能性があります。

 もっとも、各金融機関の自己資本との比較では経営を直ちに揺るがす規模とは限らず、今後は貸倒引当金や回収状況が注目されます。


(2)加盟店への影響

 加盟店への影響はさらに深刻です。

 全東信を利用していた店舗では、

  • 売上金が未入金となる可能性
  • 決済サービスの突然停止
  • 新たな決済代行会社への切替え
  • 当面の資金繰り悪化

などが発生しています。

 特に個人経営の飲食店では、

「カードでは売上があるのに現金が入ってこない」

という事態に直面し、運転資金不足に陥るケースも懸念されています。日本飲食団体連合会も加盟店に対して注意喚起を行いました。


まとめ

 全東信の破産は、単に「コロナで経営が悪化した」というだけでは説明できません。

 背景には、

  • 審査が難しい加盟店も含めた積極的な加盟店拡大
  • 多額の資金を必要とする早期立替払いビジネス
  • コロナ禍による取扱高の減少
  • 約20年に及ぶとされる粉飾決算
  • 金融機関からの借入依存

といった複数の要因が重なっていました。

 決済代行会社は、キャッシュレス社会を支える重要なインフラですが、その事業は多額の資金調達と信用の上に成り立っています。本件は、信用が失われた瞬間に事業全体が立ち行かなくなるという、決済代行業の構造的なリスクを示した事例といえるでしょう。

 

(以上のブログ記事はチャットGPTとの質疑応答を参考にして作成しました。)

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【GW(ゴールデンウィーク)の業務について】

GW(4月29日~5月5日)の営業予定は以下のとおりです。

 

4月29日(水) お休みをいただきます。

4月30日(木)、5月1日(金) 平常通り

5月2日(土)~5月4日(水) 11:00~16:00

5月5日(火)、5月6日(水) 11:00~18:00

 

また、上記にかかわらず、お電話やメールでのご連絡は基本的にいつでも対応可能です。

 

以上よろしくお願い申し上げます。

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任意整理ができる場合・できない場合

 任意整理は、裁判所を利用せずに債権者と直接交渉し、

将来利息のカットや分割返済の条件を見直す手続です。

もっとも、すべてのケースに適しているわけではありません。

 

そこで、本ブログでは、任意整理に適している場合と、そうでない場合

を整理してみたいと思います。

 

 

1 任意整理に適している場合:どう言った事情が必要か
   まず、任意整理に適しているのは、一定の返済能力を前提に

  「無理のない分割返済の再設計」が可能なケースです。

 

 

 

  第1に、安定した継続収入があることが重要です。

 

   毎月一定の給与や事業収入があり、今後も収入が大きく減少する

  見込みがない場合には、分割返済の計画を現実的に立てることが

  できます。

    任意整理はあくまで返済を前提とする手続であるため、この点が

   最も重要な要素となります。

 

  第2に、元本(および合意時までの利息・損害金)の分割返済

  が可能であることが必要です。

  

  任意整理では通常、将来利息のカット(※)を前提に、元本を

  3年から5年程度(36回から60回)で返済していく内容

  で和解を行います。

   実務上は「60回で割り切れるかどうか」が一つの判断基準

   なります。
  (※)もっとも最近は大手の業者でも将来利息の加算を主張することも多くなってきております。

       そのことが長期分割での任意整理の合意を難しくしている原因ともなっていると思われます。

 

  第3に、借入総額及び債権者数が過大でないことも重要です。

 

   あくまで目安ですが、負債総額が年収の2分の1以上ある

   場合には、任意整理で対応するのは困難と考えられます。

 

    また、債権者数も多すぎると支払の管理に過大な負担が伴います。

   当職の経験からは、対象外の債権者を除いて5社程度が現実的かと

   思います。10社以上の場合はすべての債権者と合意を取り付ける

   のが困難だったり、合意後の履行に支障を来す可能性が高いと

   考えております。

   (当職の場合10社を超える任意整理はお断りしております)

 

  第4に、財産を維持したいというニーズがある場合にも任意整理しか

  選択肢がないことはあり得ます。

 

   自宅や自動車、事業用資産などを手放したくない場合や、自己破産

  を避けたい場合には、財産処分を伴わない任意整理のメリットが活きます。

 

   ただし、注意していただきたいのは、任意整理の可能性としては、

   上記第1から第3の点が前提であることも忘れてはならないでしょう。

 

  第5に、特定の債権者のみを整理したい場合にも任意整理は有効です。

 

   例えば、保証人が付いている債務を除外したり、住宅ローンや自動車

   ローンはこれまでどおり支払いを継続したいといった場合でも、個別に

   交渉対象を選択できる点が特徴です。

 

   ただし、特定の債権者といっても、同じ条件での借入業者の一部のみの

   任意整理(例えば、クレジットカードA社は任意整理の対象とするが,

   クレジットカードのB社は今後も利用したいので任意整理から外す、

   というようなもの)は、債権者間の公平を大きく害する可能性が

   ありますので、おすすめしません(そのような任意整理は弁護士会や

   司法書士会の基準から認められていませんし、当職もそのような

   任意整理の依頼はお断りしております。)。

 

 

2 任意整理に適していない場合
  これに対し、任意整理が適していないのは、そもそも返済を継続する

  ことが困難なケースです。

 

  第1に、返済原資がない場合です。

 

  生活費だけで収入がほぼ消えてしまい、毎月の余剰がほとんど確保

  できない状況では、分割返済の計画自体が成り立ちません。

  このような場合には、自己破産や個人再生といった法的手続を検討

  する必要があります。

 

  第2に、債務額が大きすぎる場合です。

 

  将来利息をカットしても、5年以内に完済することが現実的でない

  場合には、任意整理では対応しきれません。

 

  第3に、収入が不安定な場合も適していません。

 

  フリーランスなどで収入の変動が大きい場合や、失業リスクが高い場合

  には、長期の分割返済計画が途中で破綻するリスクが高くなります。

 

  第4に、滞納や延滞が常態化している場合です。

 

  すでに返済管理がうまくいっていない状態では、任意整理によって

  返済条件を緩和しても、再び支払いが滞る可能性が高いといえます。

 

  第5に、大幅な減額が必要な場合です。

 

  任意整理は基本的に元本を減額する手続ではないため、元本自体

  を圧縮しなければ返済が困難なケースには適しません。

  このような場合には、元本の減額が可能な個人再生の利用が検討されます。

 

 

3 まとめ
  任意整理は、「将来利息をカットしたうえで、現実的な範囲で返済を継続

  できるかどうか」によって適否が判断される手続です。

 

   したがって、安定収入と一定の返済余力が確保できる場合には

  有効な選択肢となりますが、返済自体が困難な場合には、他の法的

  手続を選択することが合理的です。

 

  なお、任意整理が可能と考えられる場合であっても

  自己破産や個人再生手続を選択することは問題ありませんので

   この点も考慮に入れて手続を考えていただけるとよろしいかと存じます。

 

 

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債務整理ほっとラインへの掲載

当事務所は、「債務整理相談弁護士ほっとライン」にも掲載しております。

 

▼掲載サイト
債務整理相談弁護士ほっとライン

<https://saimubengo-line.com/>
<https://souzokubengo-line.com/>

 

▼掲載中ページ
債務整理相談弁護士ほっとライン掲載中ページ

<https://saimubengo-line.com/office/office-10484/>

 

債務整理や自己破産をお考えの方は、

こちらのサイトもご参照いただけますと幸いです。

 

 

 

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サーバーレンタルのクリアースカイ:預託等取引に関する法律違反か?

高利回りを謳ったサーバーレンタルのクリアースカイ(京都)が

債権者から破産を申し立てられる
https://news.yahoo.co.jp/articles/c9dcd55402565275ff2e170677f666c9cf23a074

 

昨日上記のニュースが配信されていたので、これに関して

分析を試みたいと思います。
(ただし、報道された範囲内で得られた情報に基づくもの

であることにご留意ください。)

 

1 報道によれば、合同会社クリアースカイ(以下「クリアースカイ」と

  いう)の仕組み(スキーム)は以下のようなものだったとされています。

 ・サーバーを購入させる
 ・そのサーバーを事業者が預かりレンタル運用する。
  「3か月後に10%利益を付けて買い戻す」などと約束している。

 さらに、
 ・実際のレンタル実績が確認できない
 ・代表者が失踪し支払停止
 といった事情も指摘されています。

 

2 販売預託(レンタルオーナー商法)の典型構造
   さて、上記のような仕組みがいわゆる「販売預託商法」というもの

  に該当するかです。

 

  「販売預託商法」とは、
  ・商品を販売
  ・その商品を業者が預かる
  ・第三者に貸して利益を出すと説明:利益配当・元本保証をうたう
  という形態です。

 

  その形態からは
  ・購入者は現物を実際に確認できない
  ・実際には運用実態がないことも多い
  ・配当は後続出資者の資金で賄われる場合がある
  といった問題点が挙げられます。

 

3 預託法との関係(結論)
(1)本件に関連する法律として「預託等取引に関する法律(預託法)」

    という法律があります。

      この法律は従前からあった「特定商品等預託法」という法律を

     令和3年に大幅に改正したものです。

 

(2)預託法は、
  ・販売を伴う預託(販売預託)は原則禁止
  ・例外的に内閣府(消費者庁)が勧誘段階や契約締結時に

   締結予定の契約等の内容について確認を受けたもののみ

   これを認める。
  としています。

 

   従前から「現物まがい商法」として消費者被害が続発して

  きたことから、かかる商法は原則禁止としたもので、

  「販売預託は原則禁止」

  と注意喚起しています。

 

(3)本件スキームとの対応関係
   クリアースカイの構造を当てはめると:

     要素               該当性
   商品の販売          サーバー購入
   預託              事業者が保管・運用
   利益還元           10%利益で買戻し
   投資勧誘性          高利回りを強調
 

 ・・・というもので、典型的な販売預託の要件を満たす

    構造になっているように思われます。

 

(4)以上からすれば、クリアースカイの商法は、預託法に

   反する取引であった可能性が極めて高いように思われます。

 

4 さらに、本件は単なる預託法違反にとどまらず、
  ① 現物まがい商法(詐欺的性格)
    実在しない・運用実態のない資産への投資勧誘
    → 報道でも「現物まがい商法の疑い」と指摘がなされて

      いるようです。
  ② 出資法・金融規制の問題
    元本保証・高利回り
    → このようなことをうたっているとすれば出資法違反や金融商品

      取引法違反の可能性もあります。
  ③ 詐欺罪(刑事)
    さらに、初めから返済意思・能力がない場合には刑法上の詐欺罪

    にも該当する可能性もあります。

 

4 「現物まがい商法」との関係
   「サーバー」という一見実在しそうな資産

   しかし実際の運用実態が不明
  という点で、典型的な“現物まがい商法”のパターンに該当

  するように思われます。

 

5 実務的な評価(弁護士の視点)
  本件のようなスキームについては、実務上、次のように評価

  されるのが一般的です。

(1)まず、違法性の観点からは、預託等取引に関する法律との

   関係で極めて強い問題が認められます。すなわち、商品を販売

   した上でこれを事業者に預託し、運用益の分配や将来的な

   買戻しを約するという構造は、同法が原則として禁止する

   販売預託取引に該当する可能性が高く、少なくとも上記の

   確認を得ていないという点で違法性が強く推認されます。

 

(2)さらに、刑事法的評価としては、詐欺罪の成否が問題と

   なり得ます。この点については、当初から運用実態が存在

   しない、あるいは約定どおりの配当や買戻しを行う意思・能力

   がなかったと認められる場合には、欺罔行為が肯定され、

   詐欺罪の成立が認められる余地があります。

 

 

(3)次に、被害回復の観点からは、一般に極めて困難な類型

   に属します。
   すなわち、取引対象とされた「現物」が実在しない、あるいは

   形式的に存在しても実質的価値を有しないケースが少なくなく、

   加えて、集められた資金が早期に流出・費消されている場合

   が多いため、差押えや保全の対象となる財産が乏しいという

   問題があります。

 

   その結果、民事上の請求権が認められたとしても、現実の回収

   には大きな制約が伴うことになります。

   本件では債権者が破産申立を行ったということですが、それにより

   少しでも回収が図る手段として適切かと思われます。

   また、記事からは、代理店や紹介者が本件サーバーの販売等に

   関与していた様子がうかがわれます。このことからすれば、

   クリアースカイの経営陣だけでなく、そういったものに対しても責任追及

   が行われることが予想されます。

 

 以上のとおり、本件のようなスキームは、行政法規違反の問題にとどまらず、

 刑事責任の追及や大規模な消費者被害を伴う事案へと発展して

 いるようです。

 同種事案が今後も発生しないよう警戒を要する類型であるかと思われます。

 

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離婚について(その3:調停離婚・裁判離婚における弁護士の役割)

調停離婚・裁判離婚における弁護士の役割とは?

――結果を左右する「戦略」と「実務」の重要性

 

  離婚手続にはいくつかの種類がありますが、特に調停離婚や

裁判離婚においては、弁護士の関与が結果に大きな影響を与

えます。

  弁護士は単なる代理人ではなく、争点を整理した上で方針

を定め、交渉や立証を担う専門家として重要な役割を果たします。

 

本ブログでは、調停段階と裁判段階それぞれにおける

弁護士の役割を、実務の視点からわかりやすく解説します。

 

■ 調停離婚における弁護士の役割

  家庭裁判所で行われる調停は「話し合いの場」とされていますが、

実際には法的交渉の場です。

  ここで適切な主張をすることで、結果は大きく変わることがあります。

 

  ① 法的主張の構築と証拠整理

    弁護士は、以下のような主要論点について、法的基準に

    沿った主張を組み立てます。

    ・財産分与
    ・慰謝料
    ・養育費

   さらに、通帳・不動産資料・収入資料などの証拠を整理し、

   適切な形で提出します。単に「言い分を伝える」だけではなく、

   「証拠に基づいて説得する」ことが重要です。

 

  ② 調停委員への伝え方の最適化

    調停では当事者同士が直接やり取りするのではなく、

    調停委員を介して進行します。そのため、

    ・感情的な主張を法的に整理する
    ・誤解や不利なニュアンスを避ける

   といった「伝え方」が極めて重要です。弁護士が関与することで、

   主張の説得力は大きく向上します。

 

  ③ 現実的な解決案と条項設計

    弁護士は、裁判例や実務相場を踏まえ、

    ・譲るべき点
    ・譲れない点

   を明確にし、現実的な解決案を提示します。

    また、合意内容は調停調書として法的効力(強制執行力)

   を持つため、

    ・曖昧な表現を排除する
    ・将来の紛争を防ぐ

   といった条項設計も非常に重要な役割です。

 

 

■ 裁判離婚における弁護士の役割

   調停が不成立となり裁判に移行すると、弁護士の役割はさらに

  専門的かつ決定的になります。

  ① 訴訟戦略の立案

    裁判では、

    ・離婚原因の有無
    ・請求内容の構成
    ・主張の展開順序

   といった点を考慮することになります。その中でどういった主張を

   どのタイミングで出すかも重要となる場合があります。

 

  ② 書面作成と証拠提出のコントロール

    裁判は書面中心で進みます。

    ・訴状
    ・準備書面
    ・反論書面

    これらを法的に整合的に作成する能力が不可欠です。

    また、

    ・不貞行為の証拠
    ・別居状況
    ・収入・財産資料

    などについて、どの証拠がどの点の主張に対応するかを判断して

    整理することが極めて重要です。

 

  ③ 尋問対応と和解の見極め

    裁判の山場となるのが尋問です。

    ・本人尋問・証人尋問での質問設計
    ・不利な証言への対応
    ・裁判官への心証形成

    これらは専門的なスキルが求められます。

    さらに、裁判官の心証を見極めながら、適切なタイミングで

    和解を提案することも重要な役割です。

 

 

■ 弁護士に依頼するメリット

  弁護士を依頼することで、次のようなメリットがあります。

  ・法的に不利な結果の回避,軽減
  ・妥当な条件での解決の実現
  ・手続負担・精神的負担の軽減
  ・条項ミスや証拠不備による将来リスクの防止

 

■ 弁護士がいない場合のリスク

  一方で、弁護士が関与しない場合には、

  ・主張が不十分で不利な条件になる
  ・証拠提出のタイミングを誤る
  ・相手に弁護士が付いている場合に交渉力で劣る
  ・調停条項や判決内容に後悔が残る

  といったリスクがあります。

 

■ まとめ|早期相談が重要です

  調停離婚では「交渉と条項設計の専門家」として、
  裁判離婚では「訴訟代理人」として、
  弁護士は結果を大きく左右する存在です。

  実務的には、
  調停に入った段階で弁護士への相談・依頼を検討することが

  重要であり、 

  裁判に至った場合には、弁護士の関与はほぼ不可欠といえます。

 

  離婚問題は人生に大きな影響を及ぼす重要な問題です。
  適切なタイミングで専門家のサポートを受けることが、

  納得できる解決への近道となります。

 

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