離婚について(その2:調停離婚と裁判離婚)
3月19日のブログで協議離婚について解説しました。これに続いて
今回は、調停離婚と裁判離婚(※)について解説します。
(※)家庭裁判所が扱う離婚の方法として、
「調停に代わる審判」というものもありますが、
ここでは省略します。
1 調停離婚
(1)調停離婚とは
調停離婚とは、夫婦間の話し合いだけでは離婚やその条件について合意に
至らない場合に、家庭裁判所において行われる調停手続を利用して離婚
を成立させる方法です。
この手続では、調停委員と呼ばれる第三者が間に入り、当事者双方の
言い分を個別に聴きながら、合意形成に向けた調整を行います。そして、
話し合いがまとまった場合には、その内容が「調停調書」として作成され、
これにより離婚が成立します。
なお、我が国では原則として、離婚の協議が整わない場合、いきなり
離婚訴訟を提起することはできず、まず家庭裁判所へ調停を申し立てる
必要があります(調停前置主義)。
(2)調停離婚のメリット・デメリット
ア 調停離婚のメリットとしては、まず第三者が関与することにより、感情的
な対立が強い場合であっても比較的冷静に話し合いを進めることができる
点が挙げられます。調停では、当事者同士が直接対面して激しく対立する
場面を避けつつ、冷静な話し合いを進めることから解決を図ろうとするもの
だからです。
また、調停委員は一定の法的知識や経験を有している人が裁判所で
選任されます。そのため、法的観点を踏まえた現実的な解決案が提示
されることも多く、当事者だけでは気づきにくい落としどころを見出す助け
となります。
さらに、調停で合意に至った内容は調停調書として残され、この調書には
確定判決と同様の効力が認められているため、例えば養育費の不払い
が生じた場合には、強制執行を行うことも可能です。
このように、協議離婚に比べて履行確保の点で優れているといえます。
イ 調停離婚にはデメリットも存在します。
まず、手続は一定の期間を要し、事案によっては数か月から1年以上かかる
こともあります。
また、期日は原則として平日に開かれるため、仕事などの都合を調整して
裁判所に出向く必要があり(※)、当事者にとって負担となる場合があります。
(※) この点は、WEBでの手続を裁判所が進めており、必ずしも期日に出席する必要がない
扱いになりつつあります。ただ、弁護士が代理人につかない場合には当事者が裁判所へ
出向く負担は当分の間変わらないと思われます。
さらに、調停はあくまで合意による解決を目指す制度であるため、必ずしも
自分の希望どおりの条件が実現するとは限らず、一定の譲歩が求められる
ことも少なくありません。加えて、相手方が期日に出席しない、あるいは誠実
に話し合いに応じない場合には、手続が円滑に進まないこともあります。
2 裁判離婚
(1)裁判による離婚の概要
裁判離婚(判決離婚)は、調停でも合意に至らなかった場合に、最終的な
手段として裁判所の判決によって離婚を成立させる方法です。離婚訴訟は、
調停が不成立となった後に夫婦のどちらかが訴訟を提起することで開始します。
これに対して、裁判所が証拠に基づいて事実関係を認定し、法的判断を
下します。
裁判による離婚の場合、民法第770条に定められた離婚原因のいずれか
が認められる必要があります。
具体的には、不貞行為、悪意の遺棄、3年以上の生死不明、その他婚姻を
継続し難い重大な事由などがこれに該当します。
なお、離婚原因として以前は「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の
見込みがないとき」もあげられていましたが、令和6年の改正で削除されました。
(2)裁判離婚のメリット・デメリット
裁判離婚のメリットは、相手方が離婚に反対している場合であっても、法定
の離婚原因が認められれば、判決によって強制的に離婚を成立させることが
できる点にあります。
また、財産分与や慰謝料、親権といった問題についても、裁判所が証拠に
基づいて判断を示すため、法的に明確な結論が得られるという利点があります。
しかしながら、その反面、裁判離婚は最も時間と費用がかかる手続であり、
一般的には1年以上を要することも珍しくありません。さらに、訴訟では当事者
が主張・立証を尽くす必要があるため、精神的負担も大きくなりがちです。
また、公開の法廷で審理が行われることから、一定程度プライバシーが外部
にさらされる可能性もあります。
加えて、離婚原因の存在について証拠により立証しなければならず、証拠
収集の成否が結論を大きく左右する点にも注意が必要です。
なお、当事者双方が離婚自体に争いはないものの、親権や養育費、財産
分与などの点で対立しており調停で合意が成立しなかった場合も裁判による
離婚の対象となります(実際にはそういったケースの方が多いように思われます。)。
その場合は、離婚とともに付随処分(要否句碑の支払要求や財産分与
など)を訴訟提起に際して申し立てる必要があります。
以上を踏まえると、離婚の方法は、当事者間で円満に合意できる場合には
協議離婚、合意が難しいが話し合いの余地がある場合には調停離婚、それ
でも解決に至らない場合には裁判離婚へと段階的に進んでいく構造となって
います。
それぞれの手続は、時間や費用、強制力の有無といった点で性質を異に
しており、事案の内容や当事者の状況に応じて適切に選択することが重要です。
(このシリーズ次回は、「3 調停離婚や裁判離婚における弁護士の役割」についてアップします。)

![まずはお気軽にお問い合わせください。06-6316-8855 [受付時間 平日AM9:00〜PM8:00]](/wp/wp-content/themes/ozaki-lawoffice/commons/images/temp/tel_temp-01.gif)



