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結婚相手紹介サービス業者の不実告知と元取締役の不法行為責任

悪徳業者は会社組織にしていると実体が分からないことがよくあるが、会社の取締役にも責任を認めた事例がある。

結婚相手紹介サービス業者の不実告知と元取締役の不法行為責任

 本件は、結婚相手紹介サービス会社の会員となった女性が、男性会員を紹介してもらう契約を締結し、契約金約90万円を支払ったが、
契約締結の勧誘の際、 担当の従業員が男性会員数を実際の約3倍ほど多く伝えたというものである。
裁判所は、担当従業員に不実告知が成立するとして、契約当時の取締役についても、従業員に対し当該不実告知を行うよう
指揮・監督をしていたことが不法行為を構成するとして、損害賠償をみとめた。

契約締結の際の不実告知が、消費者契約法や特定商取引法などにおいて契約の取消事由となるのみならず、不法行為となりうることは
判例上定着しつつあるが、会社ぐるみの場合には経営者たる取締役にも不実告知をしないように指揮監督すべき義務が存し、これを怠った
場合には個人にも不法行為責任を免れない点は注目される。
もっともこの裁判例は、積極的に不実告知を従業員にさせるようにし向けていた事例であり、従業員が勝手に行っていたという事例でも
同様の責任を取締役に負わせることができるのかは、明確でない。

しかしながら、従業員に法令を遵守させるというのは経営者の責任である以上、同様の責任を免れることはできない場合はあると思われる。

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