急増カードトラブル:割賦販売法改正など規制強化を検討
急増カードトラブル:割賦販売法改正など規制強化を検討
毎日新聞 2014年09月05日 06時00分(最終更新 09月05日 09時38分 http://mainichi.jp/select/news/20140905k0000m020139000c.html
平成26年8月に内閣府消費者委員会が、
「クレジットカード取引に関する消費者問題についての調査報告」
及び
「クレジットカード取引に関する消費者問題についての建議」
を発表している。
http://www.cao.go.jp/consumer/iinkaikouhyou/2014/0826_kengi.html
上記の記事は、この調査報告と建議を受けてのものと思われる。
「カード発行会社」が加盟店(カードを利用できる店舗)と直接の関係に立たなくても、カード決済による取引が可能となったことにより、利便性が上がったと共に、トラブルが生じた場合の処理が難しくなったわけである。
以前ならカード会社が加盟店を管理することが出来たのだが、このシステムでは加盟店(カードを利用できる店舗)について、カード会社が管理することができず、悪質な加盟店を排除することが困難となっている。
その結果、トラブルが生じた場合であっても利用者が誰と交渉すればよいのかが分からないケースもある。
また、クレジットカードを利用して購入した商品が届かないといったトラブルでも、支払い方法を分割やボーナス一括払いにせず、翌月一括払いにしていた場合には、カード会社に対して商品が届かないことを理由に支払いを拒絶できない(支払い停止の抗弁の適用がない)点も問題である。
このようにクレジットカードの取引が複雑化していくことによるリスクを消費者のみが負うことは不合理であり、消費者委員会がこの点の問題を整理し、改善についての建議を発表したことはきわめて意味のあることだろう。
具体的な建議事項としては、3つ上げられている。
(建議事項1)加盟店の管理の徹底に係る制度整備
経済産業省は、クレジットカードを利用した取引における加盟店の悪質な行為を原因とする消費者被害の発生・拡大防止及び回復を図るため、加盟店の管理の徹底に係る以下の制度整備に向けた措置を講ずること。
(1)加盟店契約会社(アクワイアラー)及び決済代行業者に対し、割賦販売法における義務付けを含む、加盟店の管理の実効性の向上のための措置を講ずること。
(2)上記のアクワイアラー及び決済代行業者について、行政への登録等を義務付け、行政調査権限を規定すること。
(建議事項2)翌月一括払い(マンスリークリア)の取引における抗弁の接続等の制度整備
経済産業省は、翌月一括払い(マンスリークリア)の取引における消費者被害の防止及び回復を図るため、二月払購入あっせん取引(翌月一括払い(マンスリークリア)の取引)について、包括信用購入あっせん取引と同様の抗弁の接続等の制度整備に向けた措置を講ずること。
(建議事項3)クレジットカード取引に関する消費者教育及び情報提供等の充実
消費者庁及び経済産業省は、消費者自らによるクレジットカード取引における被害の発生・拡大防止及び回復等を図るため、以下の措置を講ずること。
(1)消費者庁及び経済産業省は、クレジットカードの利用に関する知識について消費者教育及び消費者への情報提供を一層積極的に推進すること。その際、消費者が被害の拡大防止や回復を図る際に有用と思われる知識について、分かりやすく周知すること。
(2)経済産業省は、クレジットカード業界団体に対し、チャージバックルール(注8)が適切に運用されるよう、要請すること。
(3)経済産業省は、カード交付時やカード利用時における利用者への書面の交付の機会等を捉え、リボルビング方式による支払いの仕組みやリスクについて、より分かりやすく消費者に情報提供するよう、カード発行会社に要請すること。
・・・以上の3つを建議事項としている。
このうち、もっとも手っ取り早く法改正することが可能でまた実効性があるのは、2ではないだろうか。
もともと、マンスリークリアのみ抗弁接続が出来ないことに合理性はないはずであるし、この点が改正されれば、カード会社は抗弁対抗のリスクを回避するために、真剣に加盟店管理の体制を構築しようとするだろうからである。
クレジットカードは便利である以上、トラブルが生じた場合のリスクを消費者のみが負うことのないように、当該建議に従った制度整備がなされるべきであると、私も考える。