イメージの悪用(一般社団法人だからといって・・・)
悪徳商法の隠れ蓑に、「一般社団法人」なる名称が用いられる事例が見受けられる。
一般社団法人とは、株式会社などと異なり、「営利を目的としない」で設立される法人である。
営利を目的としないというと、公益性のある事業しかできないように思えるが、そうではない。
ここでいう「営利」とは「収益を法人の構成員に分配しない」という意味である。
したがって、一般社団法人も会社と同じように収益事業をなし得るのであって、ただその収益を
分配できないだけである。
これが会社、例えば株式会社であれば、事業で得た利益は株主に分配しなければならないのが
原則である。
もちろん、分配できないのは法人の「社員=構成員」に対してであって、法人の理事として報酬を
得ることや、事業活動に当たって法人から給料をもらうことは差し支えない。
このような仕組みを利用して、法人名義で何らかの詐欺商法を行い、その主催者がうまい汁を
吸うような事例があるわけだ。
もちろん会社組織としてこれを行うことも可能だが、営利企業であることから利益が上がった場合に
税務署に目をつけられやすいだろうし、また設立に当たって資本金が必要となることも考えられる。
また、会社の場合社会的な信用が直ちについてくるかはわからない。
これに対し、一般社団法人であれば、なんとなく、公益性のある事業をしているかのイメージがあって
信用力があるかのような錯覚に一般人は陥りやすい。
この点を巧みに利用して、悪徳商法を展開する輩もあるとも聞き及ぶ。
少なくとも、「一般社団法人は営利を目的としない」と聞いて、公共性があるとか、信用できるなどと
軽信することは決してしてはならない。
(文責 尾崎博彦)