NHKの受信契約の最高裁判決について
久しぶりにブログを更新します。
先日、NHKとの受信契約に関する最高裁判決(平成29年12月9日)がでましたので、
これについて書いてみたいと思います。
内容の解説はいろいろな方が書かれると思いますので、ここではその概要を
理解できるように述べてみます。
1 受信契約の強制の意味
NHKからの受信契約の申込みに対して受信設備設置者が承諾をしない場合には、
NHKがその者に対して承諾の意思表示を命ずる判決を求め、その判決の確定によって
受信契約が成立する。
2 受信契約締結強制は憲法に違反しないか。
受信契約の締結を強制する放送法64条1項の規定は、憲法(具体的には13条
幸福追求の権利、21条表現の自由、29条財産権の保障)に違反しない。
3 受信契約を命じる判決の効果
承諾の意思表示を命じる判決の確定により契約が成立した場合、受信設備の設置
の月以降の分の受信料債権が発生する。すなわちNHKは受信設備の設置の月まで
さかのぼって受信料を請求できる。
4 判決確定以前の受信料債権の時効起算点
判決確定以前に生じた受信料債権についても、判決確定日から時効が進行する。
すなわち、判決確定日から5年以上前の受信料についても、NHKは受信設備設
置者に請求でき、設置者は時効を理由とした債務の消滅を主張できないと言うことになる。
以上の判決内容からすれば、テレビを購入した人は放送を受信することができるようになった
時点から、NHKとの契約を締結することを強制され、これに反したときは受信料を設置
時点までさかのぼって支払わなければならないことになります。
放送法などの経緯からすれば、かかる結論はやむを得ないのかも知れません。
ただ、インターネットでニュースや情報がいくらでも得られる現在、放送の公共性を理由に
受信料の負担してまで地上波等を視聴し続ける人たちがどのくらい残ってくるのか、あるい
は放送離れがどこまで進むのかと言った影響について、今後注視してみたいと思います。