大阪弁護士会の機関誌OBAに 「はい6民です お答えします」という連載記事がある。
大阪地裁の第6民事部(破産部)が、破産や再生手続などについての疑問点や取扱について情報提供してくれている記事であるが、9月号(2024年)では免責不許可についての事例紹介が掲載されていた。
同様の記事は昨年(2023年),一昨年(2022年)と9月号に掲載されていたが、これらで照会されている免責不許可の事例は10件に満たなかった。
ところが、今回は16件もの事例が紹介されている。今年は申立件数が昨年より増加しているとも言われており,免責不許可の事例も増えているのかも知れない。
不許可の理由として、紹介されている事例のほとんど(16事例中14例)で、浪費・射幸行為(破産法252条1項4号・以下「4号」という。他の号数も同じ)があげられている。
ただし、4号のみで免責不許可とされているものは3例しかなく、それらの事例は浪費が極めて多額(数千万円にも及ぶ)である場合や、借入金のほとんどが浪費に費消されている場合、支払不能となってからもなお浪費を続けていたことなど、浪費とともにプラスアルファの事情が考慮されている。
また、4号とともに考慮されている事情として、
・破産管財人に対して、破産に至る経緯などについてきちんと説明をしなかったり、虚偽の説明をしていたもの(8号、11号)
・破産申立直前ないし申立後開始決定までの間に、破産原因(既に返済できない事情)があるにもかかわらず、これを秘して借入等をしたもの(5号)
・破産直前に借入をしていたことを隠したりするなど、財産を隠匿していたと認められるもの(1号)
等があげられている。
これらの事例からすると、浪費のみで免責不許可になる事例は極めて少ないことが分かる。
むしろ、浪費が破産の原因であるだけでなく、それに至る事情を隠していたこと、管財人の求めに対して説明を拒絶したり虚偽の説明をしていたという、破産手続への不誠実な対応こそが免責不許可の重大な判断要素とされているようである。言い換えると、多くの債権者に迷惑をかけているのに、その点を踏まえた反省の態度がうかがえないものこそ免責不許可とされるべきだとしているのである。
一方で、たとえ支払不能の原因が浪費によるものであったとしても,その後の破産手続における十分な説明や真摯な手続への協力をすることで、破産者が同じことを繰り返さないという反省の態度を示されれば、免責許可となっている事例は多数ある(と言うかほとんどの場合はそうだろう。)。
当職の感触としては、もともと裁判所は、破産に至った経緯(過去の過ち?)よりも今後同じあやまちを繰り返さないかどうかを基準に免責するかどうかを判断していると考えているのだろう。
もちろん当事務所においても、二度と破産などを繰り返してほしくないというスタンスで破産手続を受任している。そのためには、それまでの生活態度を振り返って今後は二度と破産などしないで住む生活を送りたいという意欲のある方こそ破産手続で救済されてほしいと考えている。
そうであれば、たとえ浪費などがあったとしても諦めずにご相談に来ていただきたい。二度目、三度目の破産申立であっても,誠実な破産者として立ち直る意欲があれば同様である。当職としても、そのための協力は惜しむことなく、がんばっていきたい。