破産に陥りやすい、第4は「収入の不安定な人」である。
実際に私のところへは、相当な高収入にもかかわらず
多重債務に陥っている人からの相談もしばしばある。
そうなった原因にはいろいろあるのだが、
「トータル的には高収入だが、収入が安定していない」
という人がよく見受けられる。
こういった人たちは決して収入は低くないのに借金をせざるを
得なくなって気がつくと返せなくなっているのである。
そういった事態に陥ってしまうのはなぜであろうか。
その理由の一つとしては、収支のバランスがとりにくいことに
あると考えられる。
収支のバランスという点からすれば、
収入が低くても安定している人ならば
その範囲で生活することが難しいわけではない。
それは、
収入に合わせた支出予測が立てやすく、それにあわせたライフスタイルを
構築することが比較的容易だから、安易に借入に頼ることにならないはずである。
(もちろん本人の心がけ次第であるが)
これに対して、収入が不安定な人は、収支のバランスをとりにくい。
すなわち、収入の範囲内での消費生活の見通しが立てづらく、
収入の範囲内でのライフスタイルを構築することも困難となってしまう
のだろう。
また、収入の不安定な人は往々にして収入の多いときにあわせた生活を
しがちであるようだ。
そうすると、
どうしても収入の少ない時期には支出過多ということになり、
それを穴埋めするための借入をしてしまうことになるのだろう。
その結果、収支のバランスを欠いてしまい、生活費が不足した際に借りた
債務が徐々に膨らんできてしまい、経済的に破綻するということに
なるのである。
こういった事態に陥るのは自営業者だろうと思われるだろうが、
サラリーマンも意外とある。
たとえば歩合制の給料が多い職種(不動産業、歩合制の営業職の人
など)である。
さらに、
収入の不安定な人の中には見かけほどは実際に生活費に充てるための
収入はそれほど多くないという人もいる。
すなわち、一時的に手にするお金の額が多くても、
結局は目に見えない「経費」でお金が出て行っており、
実際に手元に残るお金はたいした額ではない、
という人もまま見られる。
結局、収入の不安定な人は、収支生活を計画的に進めることは困難である。
借入をせずに生活を進めるには、表面上の入金額のみに目を
奪われないようにして、年間トータルでの収入と支出を
心がけて頂くほかないと思われる。