浪費等と破産手続
前回のブログ(11月19日)では、
「浪費があっても直ちに免責不許可となるわけではない」
ことを説明しました。
だからといって
「浪費があっても自己破産において不利益な取扱をされることはない」
と言うわけではありません。
浪費が原因で経済的な破綻に至った場合、免責不許可事由
であることは間違いありませんので、裁判所も免責を許可するかどうかを
慎重に判断することになります。
したがって、このような場合には、財産の多寡にかかわらず
破産管財人を選任することが求められる場合があるのです。
破産管財人が選任されると、破産者には以下の負担が
課せられることになります。
・管財人選任のための予納金納付
破産管財人の専任のための費用負担として
この場合、裁判所に最低20万円程度の予納金を
納める必要があります。
・破産手続の長期化
また、破産管財人は、破産者の免責不許可事由を
調査するとともに、現状の生活状況から二度と同じことを
繰り返さないように指導することとなります。
その結果、必然的に破産管財人が選任されない場合
(同時廃止)に比べて、破産開始決定から免責許可を
受けるまでの時間が長くなります。
・報告義務や郵便物の転送など
破産手続が継続している期間中は、破産者は管財人や
裁判所に対する報告義務を課せられ、また郵便物は
いったん破産管財人の手元に届くことになり、直接
郵便物を受け取るのに時間がかかるといった負担が
あります。
もちろん、免責不許可事由がなくても一定の財産を
有している場合には破産管財人の選任は不可欠ですが
そう言った財産を有していなくても、浪費等の場合は
管財人を選任することが要求されることがあります。
なお、同じ浪費でもギャンブル等による場合の費消より
FX取引や株式投資など「投資」の失敗によるケースの
方が、管財人選任の可能性が高いというのが,
当職の感触です。
(「投資」名目の場合、その内容が把握しにくいことや
財産隠しの可能性があるからだと考えられます。)
いずれにしても
ギャンブル等による浪費の場合、管財人が選任される
ケースがありますが,誠実に対応することが
必要です。
具体的なケースについては申立に当たって
ご相談いただければと存じます。