東京ミネルヴァ法律事務所の破産に思う
弁護士法人の東京ミネルヴァ法律事務所が破産開始決定を受けた。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020062401215&g=eco
(時事ドットコムニュース)
https://www.tsr-net.co.jp/news/tsr/20200624_02.html
(東京商工リサーチ記事)
上記の記事によると、
「 負債総額は52億円(2019年3月期決算時点)だが、
大半が預り金と未払金で占めており、変動する可能性がある。」
とある。
ここで「預かり金」や「未払い金」というのを説明したい。
まず「預かり金」というのは、
例えば弁護士が過払金の返還請求を受けた際、
回収した過払金をいったん弁護士が預かり手数料を
差し引いて,依頼者に支払うこととするが、
いったん預かった過払金相当が「預かり金」とされる。
また、「未払い金」というのは、
おそらく、弁護士が依頼を受けた際に着手金や費用を受け取るが、
最終的な委任事項が中途で終了した場合に、弁護士は
いったん受け取ったこれらの金員について、これを返還すべき義務が
生じるのであって、これが「未払い金」と扱われるのだと思われる。
どうも、東京ミネルヴァ法律事務所は、以前から自転車操業
に陥っており、預かり金を流用していたようであり、
また今回の破産によって、依頼者からの委任事項を遂行できなく
なったことで、返還すべき債権が生じたのであろう。
通常は、こういった「預かり金」や「未払い金」は、預り口座に
プールしておくものであって、ここまで債務が増大することなど考えられない。
この点については、
同事務所の広告を担当していた業者が,預かり金等を持ち逃げしていたとか、
実質的な支配をしていたのではないか、と噂されている。
過払い金CMの大手弁護士法人、「東京ミネルヴァ」破産の底知れぬ闇
https://diamond.jp/articles/-/241503
従前から、高齢の弁護士や営業ができない弁護士と提携して
実際には、業者の送り込んだ従業員が事務所を運営している
「業務提携」が挙げられた事例はいくつもあり、いずれもその弁護士は
重い懲戒処分となっていたが、おそらく,今回の事例もそれに準じた
ものなのだろう。
ただ、東京ミネルヴァ法律事務所が法人化したのは
平成24年のようである。(ウィキ戸ディアによる)
この頃には、すでに過払金ビジネスは下火になっており、いずれオワコン化
するのが目に見えていた。
そうだとすれば、同事務所は
設立時点から赤字経営だったのではないかと思われる。
その結果、自転車操業と広告会社への負担とで
ますます負債が増えていったのではないだろうか。
いずれにせよ、こういった事態が生じたおかげで
債務問題を扱う弁護士が信用に値しないというイメージが
ついてしまうとすれば、極めて遺憾である。
私自身としては、こういった事件を他山の石として
誠実に業務を続けていきたい。