宝石販売業者への業務停止命令
「ジェムケリー」に業務停止命令=宝飾品訪問販売で執拗勧誘―消費者庁
・・・こんな手口を未だにやっているのかと思っていたら、消費者庁の発表資料では、平成23年6月から10月頃の報告事例が掲載されていた。
特定商取引法違反の訪問販売業者に対する業務停止命令(6か月)について
この業者は、
・抽選によりプレゼントが当たるキャンペーン等を実施して、
・応募してきた消費者に電話をかけ、抽選によるプレゼントとは別の応募者全員への無料プレゼントの受け渡しのために、
店舗又は展示会に来てほしいなどと言って、店舗まで誘い込んで、
・そこでプレゼントの受け渡しと共に、商品購入の勧誘を行う
という手口でもって販売をしていたものである。
この手法は、「アポイントメントセールス」と言われ、商品の勧誘は店舗内で行われているが、販売目的を隠匿して勧誘をして、
店舗へ誘い込んでおり、これも「訪問販売」の類型として、特定商取引法で規制されている。
そしてこの業者が、どういった点で、特定商取引法に反していたかと言うことだが、要約すると以下の行為があったとのことである。
1 勧誘目的の不明示(特定商取引法3条)
消費者を店舗や展示会に誘引し、更に、その勧誘に先立っても、「せっかく来たんだから宝石のこともちょっと勉強していってよ。」と
売買契約の締結について勧誘する目的であることを告げていなかった。
2 契約を拒んだものに対する再勧誘禁止(特定商取引法3条の2第2項)
消費者が、「いらないです」と言って契約を断ったにもかかわらず、値下げや分割払いの金額を提示するなどして、引き続き勧誘を
行っていた。
3 公衆の出入りしない場所での勧誘(特定商取引法6条4項)
勧誘をする目的であることを告げずに消費者を誘引し、ホテルの会議室等、公衆の出入りする場所以外の場所において、勧誘を行った。
4 迷惑な勧誘(省令7条1号、長時間勧誘はこれに該当するとの通達あり)
長時間にわたって執拗に、また、夜間まで勧誘を続けるなど、消費者に迷惑を覚えさせるような仕方で勧誘を行っていた。
・・・以上が、本件の消費者庁の処分の概要である。
アポイントメントセールスの手法としては、最近では、パソコンソフト(競馬投資、パチンコ投資法など)の勧誘でもしばしばなされているのを
聞いたことがあったが、以前はジュエリーなどでもこの方法での勧誘がときどき報告されていた。
最近は、こういった手法の宝石販売業者をあまり見かけないと言う印象を持っていたのだが、こういった販売方法をとっていた業者が
報道されて、認識を新たにしたものである。
本当はブログで紹介するつもりはなかったのだが、某テレビ局から問い合わせもあったことでもあり、ここに紹介しておくこととした。