女性派遣社員強殺事件に死刑判決
岡山市で2011年9月、同市の派遣社員加藤みささん(当時27歳)から現金を奪って殺害し、遺体を切断して捨てたなどとして、
強盗殺人罪などに問われた元同僚の住田紘一被告(30)(大阪市住吉区)の裁判員裁判の判決が14日、岡山地裁であった。
森岡孝介裁判長は「殺害態様は冷酷、残虐。被害者は1人だが、結果は重大。更生の可能性も高いとは言えない」などとして、
求刑通り死刑を言い渡した。
(2013年2月14日16時24分 読売新聞)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・・・従前、死刑選択の基準としては、いわゆる「永山則夫事件」の最高裁が示した基準によるとされてきた。
すなわち、最高裁は、
「死刑制度を存置する現行法制の下では、犯行の罪質、動機、態様ことに殺害の手段方法の執拗性・残虐性、結果の重大性ことに
殺害された被害者の数、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等各般の情状を併せ考察したとき、
その罪責が誠に重大であつて、罪刑の均衡の見地からも一般予防の見地からも極刑がやむをえないと認められる場合には、
死刑の選択も許されるものといわなければならない。」
と一般論を述べた上で、当該事件において犯行当時少年であった被告人を無期懲役とした高裁判決を破棄、差し戻した。
上記の基準では、「結果の重大性ことに被害者の数」が重要な要素とされている。
このことからすれば、被害者が一人なのに、死刑判決とするのは、異例であるように思われるが、本件で裁判所が「被害者は1人だが、
結果は重大」とした要素がどこにあるのかは、事実関係や他の判断要素を検証してみないと判然としない。
ただ、やはり裁判員裁判が施行されるようになってから、厳罰化の傾向があると指摘されていることもあり、
この判決もその流れに沿ったものである可能性は否定できないように思われる。