「和牛預託」被害者狙う詐欺未遂容疑 「かけ子」8人逮捕 埼玉
「和牛預託」被害者狙う詐欺未遂容疑 「かけ子」8人逮捕 埼玉
産経新聞 2月19日(木)7時55分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150219-00000008-san-l11
・・・記事によると、埼玉県警が 21~42歳の男8人を逮捕したとのことである。
すなわち、逮捕容疑の概要は、
和牛預託商法の被害者の女性方に、実在する企業の従業員を装い
「当社は和牛預託商法会社から債権を継承した。株主、債権者の皆さまに
株式交換をして、出資金を返還して和解したい」
などと電話し、新株発行手数料として現金4千円をだまし取ろうとした
(実際にだまし取ったわけではなく、おそらく被害者が送金前に気付いた
のだろう)というであって、 「詐欺未遂」と言うことらしい。
ここだけみていると、えらく少額であるが、 おそらく、ここで引っかかる被害者に対しては、
「取り返すための手数料」とか、
送金した被害者に、
「不正な取引なので警察が来る。これをもみ消してあげる」 等と言って
更なる現金送付を求める、と言った手口 なのだろう。
実際にもそのようなかたちで送金させた余罪があるようで
埼玉県警も、一味の拠点を捜索するなどして裏付け捜査を しているようである。
・・・あいも変わらず、詐欺商法の二次被害はしばしば生じている。
おそらく、大量消費者被害事件については、被害者の名簿が
何らかのかたちで、一味の残党や悪徳業者に流れており、
いわゆる「かもリスト」が作られているのだろう。
一般にこういった詐欺商法への被害者は、
・被害にあった自分が許せない、あるいは認めたくない、
と言う気持ちを少なからず有しており、
また、
・詐欺による損を何とか取り戻したい、
と常に考えている。
こういった被害者の心理はともすれば、正常な判断を失わしめる
ことになるのであって、ハイエナのような輩にとっては、
つけ込むことはきわめて容易なわけである。
もちろん、消費生活センターや消費者問題に詳しい弁護士からは、
こういう詐欺についての啓蒙や、指導はひんぱんになされるのだが
それでも、やはり引っかかる人たちが少なからず存在する。
上記の心理にある被害者には、
「そんなの取り返すのは無理だから、止めときなさい」
と言う言葉よりも、
「被害金額を取り返してあげます」
と言う言葉の方が魅力的に聞こえるのである。
そういう人たちへの啓蒙や指導がなかなか困難であることは
正直認めざるを得ないのだが、そのあたりの効果的な防止策は
ないかを常に考えてしまうのである。
さしあたり、私は事前に相談を受けたのであれば、 少なくとも、
「現金をゆうパックで送らせる業者は100%詐欺です!」
と指導することにしている。
ゆうパックの規約上、現金を送金することは出来ないとされている
にもかかわらず、違法な送金を奨励しているからである。
いずれにせよ、かなり判断力の鈍った人でも詐欺であることが
理解できる指標が見つけられれば よいなあと、考える次第である。
※ 和牛預託商法:和牛の販売利益を配当する旨の触れ込みで、飼育の共同出資者になるよう
出資を募り、実際にはその利益ではなく出資金自体を配当に回す自転車操業を繰り返したり、
出資金を他に流用等して約束した配当を行わないという詐欺商法を言う。
(参考:ウィキペディア)
弁護士尾崎博彦@尾崎法律事務所