個人事業主の破産について(その3)
破産の件数については、2025年度の大阪地裁(本庁)の
破産申立件数は6700件はくだらないようである。
(正確な統計はまだ出ていないようであるが、当職が年末に
大阪地裁に申し立てた際の事件番号から推測した)
なかでも、個人事業者やフリーランスの方の相談が
増えていると言われている。
確かに、当職のところにもそういった方の相談が目立つようになってきた。
相談増加は以下の分野の事業者が多いということである。
・飲食店
・建設一人親方
・運送
・美容・エステ
・ITフリーランス
これらの業種がなぜ破産せざるを得ない状況になっているのかを
以下に挙げてみる。
1 飲食店
① 食材費・光熱費の急騰
2022年以降、小麦、食用油、肉、電気・ガスなどが大幅に
上昇した。
これらの値上がりは、仕入れ価格交渉力が弱く価格転嫁
しにくい小規模店の利益率を低下させてしまう。
② 人手不足と人件費上昇
飲食業は最低賃金の影響を強く受ける。
アルバイト確保が困難な一方で賃金の上昇によって売上げが
回復しても利益が出なくなっていることも要因とされる。
③ コロナ融資の返済開始
多くの飲食店が実質無利子融資、持続化給付金などで延命
していた。
ところが、コロナ禍が去り、2023年頃から返済が本格化
したことで資金繰りが悪化することとなった。
④ 過剰出店・競争激化
もともと我が国は飲食店の数が多く、過当競争気味であった
ところ、コロナ後も客数の回復は限定的であり、またインバウンド
に依存する状況からは、小規模店の淘汰が進んでいる。
2 建設(一人親方)
建設業の個人事業主、特に「一人親方」と呼ばれる方も多く
破産に追い込まれている。その主な原因は以下の通りである。
① 資材価格の高騰
2021年以降、木材、鉄鋼、セメントなどの資材が急騰した。
しかし一人親方は元請から単価を決められるため価格転嫁
が難しい。結果利益が確保できない状況に陥る。
② 社会保険・インボイス負担
最近の社会保険加入強化やインボイス制度などの制度強化
により手取り収入が減少するという状況もあると言われている。
③ 構造上の問題(建設業の多重下請構造)
一人親方の典型構造は、
元請→一次下請→二次下請→一人親方
というものである。
このような場合下層に行くほど利益率が低く、支払サイトが
長いといった状況にあり、このことが資金繰りの不安定さを
生むこととなる。
3 運送(トラック)
運送業も個人事業主が多い業界であり、
① 燃料価格の上昇
② 2024年問題(時間外労働規制の結果、走行距離減少
や売上減少が生じる)
③ 大手物流企業への依存
等、により価格交渉ができず単価の低いままで利益が上がり
にくいという構造が、破産件数増加につながっていると考えられる。
4 美容・エステ
美容業界も個人事業主が多いが、
①参入障壁が低さ(小資本、fc展開など)からの過当競争
②高額設備投資(美容機器、内装など)が必要であること
から開業時に相当(1000万〜2000万円)の借り入れが
多く、固定費負担で破綻するケースが見受けられるとのことで
ある。
さらに、最近は格安美容院、セルフエステなどが増え、単価が
下がっていることも原因とされるようである。
5 ITフリーランス
一見好調に見える業界だが破産相談の件数も増えている
そうである。
主な原因としては、① 案件単価の下落、② 案件の不安定、
③ 社会保障の弱さなどから収入が途絶えるとすぐに経済的
破綻に瀕することとなる。
以上、個人事業主で特に破産が増えていると言われる業種と
その原因・背景などを分析してみた。

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