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買主の自宅で締結された土地売買契約とクーリングオフ(不動産の裁判例)

今回は、宅建業法上のクーリングオフの可否が問題になった事例を取り上げる。

名古屋高裁平成15年4月2日判決(RETIONo.56、裁判所HP下級裁主要判決情報)は、買主の自宅で締結された売買契約が
クーリングオフにより解除できるとしたものである。
(名古屋高裁H15.4.2判決)

 ・・・宅建業法においても、特定商取引法のようなクーリングオフ規定がある。
すなわち、宅建業者が自ら売主となって宅地又は建物を販売する場合に、

1 「事務所その他国土交通省令で定める場所」以外の場所で、相手方に契約の申し込み又は売買契約の締結をさせたときは、
  相手方は、申込日又は契約締結日から8日間は、いわゆるクーリングオフ(解除)ができる(宅地建物取引業法37条の2第1項)のだが、

2 相手方が自宅やその勤務先に当該宅建業者を呼んで説明を受けるように申し出た場合には「その他国土交通省令で定める場所」に
  該当しクーリングオフができない、とされている(宅地建物取引業法施行規則16条の5第2項・・・いわゆる「来訪要請」)。

本件では、平成13年10月15日、宅建業者Yが売主である本件土地をXが買い受ける旨の契約締結(本件契約)がX宅でなされたが、
同月23日にXはクーリングオフの通知をしたものである。
その際Xが「自宅において本件契約に関する説明を受ける旨を申し出たか否か」が問題となった。

第1審ではXの請求を棄却したが、控訴審の名古屋高裁は、大要、

1 Xは、本件土地購入契約に先立つ数ヶ月前に農協から5000万円を借り入れて、別の土地建物(A物件)を購入していた。農協からの
借入についてはA物件に抵当権を設定し、毎月約26万円を返済することとした。このような状態で,Xが積極的に本件土地の取得を
望んでいたものとは考え難いこと

2 Xは,本件契約が締結された翌日に同農業協同組合に相談に行って,抵当権の付け替えができないことを聞いているのであり,
このことからすれば,A物件との等価交換は,Xの発案ではなく,Yの側から提案されたものであると考える方が自然であること

3 本件土地の売買は,控訴人においてはほとんど契約内容を理解せず,専らBの意向だけで進められて契約締結に至っていること 

・・・などからすれば、

平成13年9月ころ,Bの名刺が控訴人宅の郵便受けに投函されていたため,同月15日ころ,Xの妻がYに電話して,来訪の趣旨を
尋ねたところ,Xに対する本件土地の売買について話はされなかったが,同年10月11日,Bから控訴人宅に電話があり,応対した
Xの妻に対し,A寺の隣地の件で明日話をしたいとの申し入れがあったため,Xの妻はBの来訪を承諾し,同日XはBの来訪を
受けたものである、

とのXの主張を入れ、また、

Bが供述するように,YがX宅に名刺を入れた後,Xの妻からの電話によりBが控訴人宅に赴くことになったのが事実であるとしても,
Bにおいて,控訴人宅へ名刺を投函してその機縁を作り,電話を通して本件土地の売買を巧みに勧誘することによってそのような
成り行きになったことが推察されるのであって,実質的にはBの方から本件土地の売込みのために控訴人宅を訪問したものということも
できる。

とした。そのうえで、
 
本件は,Xが自宅において本件契約に関する説明を受ける旨を申し出た場合に当たるものと認めることはできないから,XがYに対してした
クーリングオフを理由とする本件契約の解除の意思表示は有効というべきである。

と結論づけた。

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そもそもクーリングオフというのは、取引の意向が明確でない者に不意打ち的に契約締結をさせる可能性がある場合に、一定の期間
その契約締結が妥当だったかを再検討させ、必要でないと判断すれば契約解消できるとしたものである。
したがって、みずから自宅に宅建業者を招いて説明を受けようとしているのだから、相手方においても売買の意思が明確であり、
不意打ち性が認められないと考えられることからクーリングオフを認める必要性がないとされたものである。
しかし、外形上来訪要請があったかに見えたとしても、その本質は契約締結に際して不意打ち的要素がなかったかどうかにあるから、
来訪要請の有無については厳格にとらえられるべきである。

本件のように、買主に積極的に売買契約の締結の動機が認められず、来訪要請の趣旨が契約締結の意向が明らかでないような場合に、
契約締結についての不意打ち性が払拭できないことから、直ちに来訪要請があったと認定することは妥当でない。
この観点から、本判決は事実認定を丁寧にして合理性のある方向から、認定したものと評価でき、また結論としても妥当である。
そしてこのような来訪要請に対する理解は特定商取引法における来訪要請に対する考え方と類似するものであって、法律が異なるとしても
クーリングオフの統一的な理解に資するものと考える。
逆に、業者としては、自宅での取引が想定されるにしても、来訪要請の趣旨が取引意思を有するか否かの確認すべきであるし、原則として、
自宅訪問による場合はクーリングオフの可能性を前提に取引を行う必要があろう。

(本件の業者Yは自ら本件物件を抱え込みたくなかったのかも知れないが、常識的に見ても数ヶ月前に近隣の土地建物を購入し、
 住宅ローンを組んでいる者に対して、新たに土地を購入させようとするのは通常は強引であろうと思われる。)

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