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ピンクレディ事件最高裁判決から見るパブリシティ権のリステイト

そろそろピンクレディ事件の最高裁判決の評釈が出つつあるようだ。
これまで、同ブログでいくつかパブリシティ権の裁判例を紹介してみたが、今回の最高裁判決は、これら裁判例において問題とされ、
その判断が微妙に異なる点を、裁判所として統一的な見解として示したものといえる。
そうだとすれば、あらためて最高裁のパブリシティ権に対する考え方として明確になった部分をきちんと理解した上で、従前の裁判例をとらえ
直さなければならない。
そこで、今回は、いったん最高裁がパブリシティ権についてどこまで踏み込んだ判断をしたのかをあらためて整理しておきたい。

整理にあたり、特にLaw and Tdchnology(L&T)No.56-p68以下に所収の最高裁重要判例解説(中島基至最高裁調査官著・以下「最高裁解説」という)を参照した。実にうまくまとめておられる。さすが最高裁調査官である。

さて、そもそも、ピンクレディ事件で、最高裁がパブリシティ権について論じた点を要約すると以下のとおり3点に集約できる。

1 人の氏名、肖像等(肖像等)が有する顧客吸引力を排他的に利用する権利(パブリシティ権)は、人格権に由来する権利の一内容を
  構成する。

2 人の肖像等の無断利用が「専ら顧客吸引力の利用を目的とする場合」には、パブリシティの侵害として不法行為を構成する。

3 「専ら顧客吸引力の利用を目的とする場合」とは
 ① 肖像それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品等として使用する場合
 ② 商品等の差別化を図る目的で肖像等を商品等に付する場合
 ③ 肖像等を商品化等の広告として使用する場合
 などである。

以上の3点について、順次コメントする。


まず、1については、要するに、「パブリシティ権」を「肖像権」とは区別される法的権利として認めるというものである。従前より判例実務では
「パブリシティ権」が法的保護に値するものと位置づけられており、「特に目新しいとはいえない」との評価もあるが、最高裁において積極的に
法的保護に値する利益とされたこと及びこれが「人格権」に由来するとされたことの意義は無視されるべきではない。

もっともこれだけで、具体的な事例解決に資するものではないから、本来は2,3の点がより重要である。

次に、2の点であるが、これはどういった場合にパブリシティ権の侵害となるかといった点について、一般的な規範を宣言するものである。
従来、パブリシティ権の侵害となるか否かについては、以下の4つの見解が示されてきた(前述した最高裁解説による分類)。

 ア 「専ら」基準説
 イ 「商品かまたは広告」基準説
 ウ 商業利用説
 エ 総合考慮説

それぞれの内容の説明は上記最高裁解説に譲るが、パブリシティ権の侵害が成立しやすい順にいうと、ウ>アorエ?>イの順になるように
思われる。
最高裁は一応、通説的とされるアによる表現を用いている。
ただ、この見解ではいかなる場合が「もっぱら」といえるのかが問題であるから、具体的な場合として、3に列挙するような場合をパブリシティ
権の侵害とするものである。

この点、3に列挙するような場合は、従前からパブリシティ権の侵害としてほぼ争いがなかった類型であり、もっと限界事例についての判断を
して欲しかったとの指摘もある。
しかし、私は、パブリシティ権の侵害としては、おおむねこの3類型及びこれに準じる場合などに限定して認めるという趣旨ではないかと
考える。

従前、問題とされてきたのは、雑誌や書籍等への著名人の写真掲載である。
この点については、「独立して鑑賞の対象となる」ものかどうかで判断されることとなり、明確に撮影料などの発生するグラビアページなどを
除くと、パブリシティ権の侵害は認められないのではないか。
この視点からすれば、再考の余地がある裁判例もあるかも知れない。
いずれにせよ、このように最高裁の見解について評釈によりまとめてもらったのは非常にありがたい。
それとともに、パブリシティ権の裁判例を検討しながら、自分の不勉強を恥じ入るばかりである。

今後は、あらためて本判決の視点から、従前の裁判例を検討していきたい。

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